2014/6/1
2013年12月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、「和食 日本人の伝統的な食文化」を無形文化遺産に登録することを決めました。ご存知のとおり、LAにも人気和食レストランが数多く軒を連ねています。
LAにおける和食の歴史は、この連載でたびたび登場する「かめレストラン」から始まります。当時の「和食」が、いわゆる日本で普通に食べているような食事だったかどうかは疑問ですが、当時移住してきた方々から見ると、地方色豊かな、いわゆる「和食」と言えるものだったと思います。ただし今回、和食が無形文化遺産に登録されるにあたり、大きな役割を果たしたもののひとつとして、「寿司」の存在に触れないわけにはいきません。
初めて本格的な江戸前寿司がLAに登場したのは1964年の川福レストラン(現在のダブルツリーホテル、元ニューオータニホテル建設のため、ガーデナに移転)だといわれています。それまでLAの「和食」といえば、すき焼き、照り焼き、豚豆腐、そば、うどん、などでしたが、寿司の登場により、「和食」の潮流は大きく変わります。日系食品流通企業やレストラン関係者、日本政府機関等の尽力により、寿司、和食はリトル東京、LAのみならず、全米でブームを巻き起こしていくことになります。
また、このブームに拍車をかけたのが、米国連邦政府が発表したアメリカ人の健康のためのガイダンスです。医師や健康関係機関もヘルシーな和食によるダイエットを奨励したことで、アメリカ人が積極的に和食を食べるようになりました。箸の使い方も皆さん大変上手です。また、日本映画や寿司職人を取り上げた映画がヒットするたび、リトル東京や和食に注目が集まり、今や和食レストランは全米で約2万店(米系スーパーにあるテイクアウト専門店8000店は含まず)におよび、今後もさらに増えると予想されています。約4万6千店を誇る中華料理店の数を超える日もそう遠くないかもしれません。