2024年 8月号  Issue No.430

 

商工部会

「2024 FDI Report of California」(カリフォルニア州における海外直接投資報告書)発表

去る6/20(木)に開催された「Select LA Investment Summit 2024」にて、カリフォルニア州における海外直接投資報告書の2024年度版が発表された。JBAは16年に同報告書が創刊して以来、データ購入費用の一部を負担するなどの形で作成に協力を続けてきた。当初は南カリフォルニア地域に限定していた調査対象を、20年からはカリフォルニア州全体に拡大したが、その中で、日本は常に南カリフォルニア、そしてカリフォルニア州全体における雇用者数、企業社数、総賃金の3項目において1位を堅持してきた。そして今回も、日本は同調査において強い存在感を示した。

LAEDC 、WTCLAのプレジデント兼CEO・ Stephen Cheungさん(右から3人目)を囲む形で、商工部会の徳丸部会長(左から4人目)、伊藤副部会長(右から4人目)、酒井副部会長(右端)、安江専務理事(左から3人目)、JBA、ジェトロ・ロサンゼルス関係者らが記念撮影。

LAEDC 、WTCLAのプレジデント兼CEO・ Stephen Cheungさん(右から3人目)を囲む形で、商工部会の徳丸部会長(左から4人目)、伊藤副部会長(右から4人目)、酒井副部会長(右端)、安江専務理事(左から3人目)、JBA、ジェトロ・ロサンゼルス関係者らが記念撮影。

南カリフォルニア地域への海外からの直接投資(FDI)の促進を目的とした「Select LA Investment Summit」

去る6月20日(木)、JBAがStrategic Alliance Partner契約を締結しているLAEDC(Los Angeles County Economic Development Corporation=ロサンゼルス郡経済開発公社)の傘下機構、WTCLA(The World Trade Center Los Angeles)が、Hyatt Regency Long Beachで「Select LA Investment Summit 2024」を開催した。15年の初回開催以来、南カリフォルニア地域への海外直接投資(FDI)の促進を目的に毎年開催されている同イベント。内容は最新の投資動向や経済データなどの共有、経済専門家や自治体、ビジネスリーダーなどによる基調講演やパネルディスカッション、ネットワーキングなど多岐にわたり、今年も多くのビジネスリーダー、投資家、政府関係者らが集まった。そして、JBAからは南浦JBA会長、商工部会の徳丸部会長、伊藤副部会長、酒井副部会長、安江専務理事らが出席した。

当日朝9時になると、LAEDC およびWTCLAのプレジデント兼CEO、Stephen Cheungさんのファシリテーションによりプログラムがスタート。そこから同イベントの支援機関であるSelectUSAのエグゼクティブ・ディレクターJasjit Singhさん、Karen Bassロサンゼルス市長やGeorge Chenトーランス市長、曽根健孝・在ロサンゼルス日本国総領事などの挨拶に始まり、宇宙開発ビジネスに関するパネルディスカッション、ロサンゼルスにおけるスタートアップブームの現状、ロサンゼルスおよびロングビーチ地域におけるサプライチェーンの再活性化についてのセッション、「2024 FDI Report of California」の発表(詳細は後述)、LA産業を支える協業エコシステムやロサンゼルス郡でビジネスを成功させる秘訣についてのセッションなど、イベント終了の4時までさまざまなプログラムが行われた。

ビジネスリーダー、投資家、政府関係者らが一堂に会した会場の様子。

ビジネスリーダー、投資家、政府関係者らが一堂に会した会場の様子。

壇上の曽根総領事。「23年の『FDI Report of California』では、日本の企業が南カリフォルニアで7万1000人以上の雇用を創出し、80億ドル以上の賃金を生み出したこと」「JBAとLAEDCやWTCLAとの密接な連携は今後も非常に重要であること」「MLBの大谷翔平選手や吉田正尚選手の存在がビジネスチャンスを生んでいること」「ロサンゼルス港とロングビーチ港のゼロエミッション目標達成に日本の水素技術が貢献していること」「JETROの『Beyond Japan』プロジェクトにより、日本のスタートアップ企業がカリフォルニア州に進出してきていること」などについて触れ、当地における日本のプレゼンスを強調した。

壇上の曽根総領事。「23年の『FDI Report of California』では、日本の企業が南カリフォルニアで7万1000人以上の雇用を創出し、80億ドル以上の賃金を生み出したこと」「JBAとLAEDCやWTCLAとの密接な連携は今後も非常に重要であること」「MLBの大谷翔平選手や吉田正尚選手の存在がビジネスチャンスを生んでいること」「ロサンゼルス港とロングビーチ港のゼロエミッション目標達成に日本の水素技術が貢献していること」「JETROの『Beyond Japan』プロジェクトにより、日本のスタートアップ企業がカリフォルニア州に進出してきていること」などについて触れ、当地における日本のプレゼンスを強調した。

「2024 FDI Report of California」では、日本がほぼ全ての項目で1位の座を守る

さて、毎年大きな注目を集める同イベントのハイライト、「FDI Report of California」の2024年度版(詳細はコチラ)の発表では、まずLAEDC応用経済研究所のシニアディレクター、Shannon Sedgwickさんが概要を説明。「今回のレポートによると、23年の1月~12月の調査期間には1万8484社の外資企業があり、約80万人の雇用を生み出しました。都市レベルでは、サンディエゴ、ロサンゼルス、サンノゼ、アーバインなどに外資企業が集中しています。今回は本調査の開始以来初めて、イギリスがカリフォルニア州全体における雇用者数で1位(11万3292人)となりました。同国がサービス、建設、ホスピタリティーの分野で大きな成長を遂げたためです」などと話した。

 

続いて、「2024 FDI Report of California」の主要な作成者の一人であるロヨラ・メリーマウント大学・国際ビジネス教育センター・マーケティング准教授のRichard Tangさんが壇上に上がり、「ドイツ、フランス、イギリス、日本、カナダなどの海外投資上位国以外にもブルネイやポーランド、ナイジェリア、サウジアラビア、イスラエル、バーレーンなどからの投資成長率が高いこと」「カリフォルニア州は高コストではあるものの生産性はテキサス州などと比べても遥かに高いこと」「カリフォルニア州全体への海外からの投資による雇用のうち4分の1がロサンゼルスで生み出されていること」「ロサンゼルスは教育、専門サービス、交通など多様な産業が発達しており、イノベーションを促進していること」などについて熱弁した。

「強力な物流システムに加えて、優秀な人材を確保しやすいこと、ほかの多くの企業と共に学び合い、イノベーションを促進できることもロサンゼルスの大きな魅力です」と話したRichard Tang准教授。

「強力な物流システムに加えて、優秀な人材を確保しやすいこと、ほかの多くの企業と共に学び合い、イノベーションを促進できることもロサンゼルスの大きな魅力です」と話したRichard Tang准教授。

以下は、「2024 FDI Report of California」から、南カリフォルニアにおける海外直接投資ランキングの部分を抜粋したものだ。日本はこれまで毎年、雇用者数、企業数、推定賃金総額で1位となっていたが、今回は推定賃金総額でイギリスに抜かれた。ただし、カリフォルニア州全体における推定賃金総額においては日本が1位をキープしている(州全体での雇用者数は11万2673人でイギリスに次いで2位)。

FDI Report

以上、今回の「2024 FDI Report of California」では、日本がカリフォルニア州への投資国として、引き続き大きな存在であることが浮き彫りとなった。JBAとしては、州政府や自治体、企業への周知をさらに徹底していくと共に、日系企業のカリフォルニア州でのビジネスを力強くサポートすべく、LAEDC、WTCLAとの良好な関係を継続していく意向である。

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オレンジカウンティ地域部会「第34回OC大運動会」報告

去る6月9日(日)、サンタアナにあるSegerstrom High Schoolのグラウンドにて、「第34回OC大運動会」が開催された。今回も48社115世帯、286名と非常に多くの参加者の皆さんが集まり、紅組と白組に分かれて楽しく汗を流した。

今年も早朝から運動会の運営に尽力した実行委員の皆さん。

今年も早朝から運動会の運営に尽力した実行委員の皆さん。

開会式では佐藤部会長、青島首席領事らが挨拶

オレンジカウンティ地域部会主催の一大イベント「OC大運動会」は、30年以上続くJBAの伝統行事。2020年、21年はコロナ禍で開催中止となったが22年より再開し、今回も無事開催となった。当日は早朝よりSegerstrom High Schoolにオレンジカウンティ地域部会の運営委員、ボランティアの方々が集まり、受付の設営や景品の梱包などの準備に精を出した。

 

午前10時になると、開会の挨拶となり、佐藤オレンジカウンティ地域部会長が登壇。「豪華なドアプライズの景品をご用意くださった企業の皆さま、運動会の準備委員の皆さま、そして今日ボランティアで参加していただいている皆さま、本当にありがとうございます。参加者の皆さまは水分補給、準備運動などしっかりして怪我のないよう、楽しみながら優勝を目指して頑張ってください」と話した。

 

続いて壇上に上がったのは、在ロサンゼルス日本国総領事館の青島首席領事。「休日にもかかわらず、これだけ多くの方が家族ぐるみで参加されるというのは、南カリフォルニアの日系コミュニティーの非常にノリの良いところだと思います。今日は元気に楽しく、気持ち良い汗を流しましょう。また、特にお父さんは張り切ってアキレス腱など切らないよう(笑)、準備運動はしっかりされてください」などと話された。その後、全員参加のラジオ体操によるウォームアップ後、紅組と白組に分かれての競技がスタートした。

「本大会は、漏れなくもらえる参加賞や抽選による豪華景品などが用意された、大変太っ腹な運動会になっております。ぜひ楽しみにしていてください」とも話した佐藤部会長。実際、ドアプライズの景品には電動自転車やホームベーカリーなど、「これは欲しい!」というものが並んだ。

「本大会は、漏れなくもらえる参加賞や抽選による豪華景品などが用意された、大変太っ腹な運動会になっております。ぜひ楽しみにしていてください」とも話した佐藤部会長。実際、ドアプライズの景品には電動自転車やホームベーカリーなど、「これは欲しい!」というものが並んだ。

「本大会をしっかり楽しんで、ますます南カリフォルニアの日系コミュニティーを盛り上げていただきたい」と期待を口にした青島首席領事。

「本大会をしっかり楽しんで、ますます南カリフォルニアの日系コミュニティーを盛り上げていただきたい」と期待を口にした青島首席領事。

“体操のお兄さん”の模範演技と共に行うラジオ体操は、同運動会の定番。子どもたちも前に集まって楽しく体をほぐした。

“体操のお兄さん”の模範演技と共に行うラジオ体操は、同運動会の定番。子どもたちも前に集まって楽しく体をほぐした。

いよいよ大会開始!勝ったのは紅組?それとも白組?

さて、まず午前の部では「徒競走」「幼児ドン」「障害物競争」「はらはらオレンジ」「綱引き」が行われ、大人も子どもも笑顔いっぱいの和やかな雰囲気の中、互いに精一杯競い合った。そして正午になると昼食休憩となり、毎年のお楽しみとなっている豪華な仕出し弁当が配布された。また、この休憩時間中には、前半のドアプライズ当選者の発表と午前の部を終えての中間発表も行われた。ちなみに、この時点での得点は紅組が82点、白組が103点だった。

「徒競走」は、7歳以上の女子・女性、7歳以上の男子・男性に分けて実施。

「徒競走」は、7歳以上の女子・女性、7歳以上の男子・男性に分けて実施。

「幼児ドン」では、完走できないお子さんを抱えてゴールを目指すお父さんの微笑ましい姿も。

「幼児ドン」では、完走できないお子さんを抱えてゴールを目指すお父さんの微笑ましい姿も。

障害物競争で、バットを軸にしてぐるぐる回る参加者たち。この後、まっすぐ走れず倒れ込む人も(笑)。

障害物競争で、バットを軸にしてぐるぐる回る参加者たち。この後、まっすぐ走れず倒れ込む人も(笑)。

上手にバランスを取りながらゴールを目指す「はらはらオレンジ」。頑張れ!

上手にバランスを取りながらゴールを目指す「はらはらオレンジ」。頑張れ!

大人も子どもも、思わず力が入る「綱引き」。

大人も子どもも、思わず力が入る「綱引き」。

午後1時になると午後の部がスタートとなり、「親子で台風&おんぶでGO」「玉入れ」「二人三脚」、そしてトリとなる「グループ対抗リレー」が行われ、大いに盛り上がった。その後、閉会式にて、佐藤部会長から「リレー前は紅組が133点、白組が130点と、3点差で紅組が勝っておりましたが、最終的には紅組178点、白組190点ということで白組の優勝です!」と発表されると、白組は歓喜に包まれた。最後に、ドアプライズの発表(後半)および参加賞の配布が行われた後、運動会は今年も無事終了した。

今回からの新競技「親子で台風&おんぶでGO」では、ハッスルするお父さんたち多数。

今回からの新競技「親子で台風&おんぶでGO」では、ハッスルするお父さんたち多数。

毎年、大人も子どもも大盛り上がりの「玉入れ」。

毎年、大人も子どもも大盛り上がりの「玉入れ」。

思わず笑顔がこぼれる「二人三脚」は、リズム感が命。

思わず笑顔がこぼれる「二人三脚」は、リズム感が命。

快速自慢たちが集結し、全長1150メートルを6チーム(1チーム10名。紅組、白組それぞれ3チームずつ)に分かれて競い合った「グループ対抗リレー」。

快速自慢たちが集結し、全長1150メートルを6チーム(1チーム10名。紅組、白組それぞれ3チームずつ)に分かれて競い合った「グループ対抗リレー」。

「第34回OC運動会」協力企業リスト ※アルファベット順

寄付の提供企業(24社)
ADASTRIA USA, INC.
Bandai Namco
Calty Design Research, Inc.
Eco Drive Auto Sales & Leasing Inc.
Ezaki Glico USA Corporation
HORIBA Instruments Incorporated
IACE Travel
Kenichi Baba, D.D.S.
KPMG LLP
Marukai Corporation
Mazda North America Operations
Mitsubishi Electric US, Inc.
Panasonic Corporation of North America
PHR Management Inc.
Relo Redac, Inc.
Sumitomo Electric U.S.A., Inc.
Suzuki Motor USA, LLC
Toyo Tire Holdings of Americas Inc.
Yamacho RMK, Inc.
Yamaha Corporation of America
Yamaha Motor Corporation, U.S.A.
Yamato Transport U.S.A., Inc
Wakunaga of America Co., Ltd.
Wismettac Asian Foods, Inc.

企画・運営に携わった準備委員選出企業(25社より計36名)
Akira Marketing LLC
CALANCE
Calty Design Research, Inc.
Deloitte LLP
Gulliver USA Inc.
Hitachi Solutions America, Ltd
Hochiki America Corp.
HORIBA Instruments Incorporated
IACE Travel
KPMG LLP
Mazda North American Operations
Mitsubishi Electric US, Inc.
Panasonic Corporation of North America
PARAMOUNT BED USA Corporation
PHR MANAGEMENT INC
Quick USA, Inc.
Relo Redac Inc.
Suzuki Motor USA, LLC
The Baldwin Group
The J. Morey Company, Inc.
TRIUP,INC
WTW
Yamaha Corporation of America
Yamaha Motor Corporation, U.S.A.
Yamato Transport U.S.A., Inc.

当日のボランティア参加企業(11社より計34名)
HORIBA Instruments Incorporated
KPMG LLP
Mazda North America Operations
Mitsubishi Electric US, Inc.
Panasonic Corporation of North America
Pasona NA, Inc.
PHR MANAGEMENT INC
SMBC MANUBANK
Suzuki Motor USA, LLC
Yamaha Motor Corporation, U.S.A.
Yamato Transport U.S.A., Inc.

 

救護担当医(ボランティア)
Jun-ichi Ohara, M.D., Oh. D.
Junko Ohara, M.D.

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第251回JBAビジネスセミナー報告

「2024年米国大統領選挙が企業のビザ手続きへ与える影響を読む」

去る6月21日(金)、移民法専門のフラゴメン法律事務所の荒木信太郎さんと三輪・ドロジェンスキー咲絵さんを講師に迎え、第251回JBAビジネスセミナー「2024年米国大統領選挙が企業のビザ手続きへ与える影響を読む」をオンラインで開催した。

荒木信太郎さん

【講師】 荒木信太郎さん

フラゴメン法律事務所ニューヨーク・オフィスのパートナー

ビジネス移民法専門の日本人弁護士として、30年近くにわたり日米の企業に米国の移民法、国籍法およびそれらにまつわる規制、米政府の政策、企業のコンプライアンスなどについて指導。明治大学法学部およびウィスコンシン州立大学ロースクール卒。ニューヨーク州弁護士。

【講師】 三輪・ドロジェンスキー咲絵さん

フラゴメン法律事務所ニューヨーク・オフィスのアソシエイト弁護士

ビジネス・イミグレーションを担当し、Eビザ、Lビザ、Oビザ、永住権取得に関する経験を持つ。上智大学卒業後、日本の法科大学院を経て司法試験に合格。日本で弁護士として勤務した後、ノースウェスタン大学のLLMを修了後にニューヨーク州、カリフォルニア州の弁護士資格を取得。

バイデン政権の移民施策を振り返る。手続きの透明性と予見可能性の回復

今回のビジネスセミナーは、今秋に迫る米国大統領選挙戦の結果で、日系企業のビザ手続きにどのような影響が生じるかを予測するというテーマで、移民法専門の法律事務所としては世界最大規模を誇るフラゴメン法律事務所の荒木さんと三輪さんの両弁護士にお話しいただいた。

 

最初に、荒木さんは過去4年のバイデン政権がどのような移民法施策を行ってきたかを振り返った。「バイデン大統領は就任早々に、前のトランプ政権での移民面に対する厳格な運用を180度転換する大統領令を発令しました。それは主に手続きについての透明性、予見可能性を取り戻すことでした。具体的にはH-1ビザの申請資格についての再定義を行いました。基本的にビザ申請の対象となる職業の幅を広げたり、また米国の大学卒業後に提供される就労資格OPTが切れる5月からH-1の抽選に合格してビザが付与されるまでの4カ月のギャップの期間も米国で働けるようにする措置を施したりするということです。また、移民局が就労ビザの認可の審査をする際に、過去に同じ人、同じ会社でのビザ認可があった場合には、最初の審査結果を尊重するという方針もあらためて大統領令として採用されました。トランプ政権では、ビザの申請に対する審査は、前回の審査結果に関係なく新たに行われるという方針だったためで、バイデン政権ではその緩和をルール化する方針を表明したのです。さらにバイデン政権では、ドリーマーと呼ばれる、親の米国への不法入国に伴い長い間不法滞在を続けている人たちに対する救済策を出しました。これは、ドリーマーのグリーンカードや就労ビザ取得を促進するような施策です」。

 

荒木さんはバイデン政権について、前述のようにビザ申請者に対してはハードルを低くする一方、企業に対してはさまざまな規制を課してきたのだと説明を続けました。「外国人が米国内で就労ビザやグリーンカードを申請する際、その仕事は本当にアメリカ人にできないような仕事なのかがこれまで以上に問われるようになりました。実際に、外国人に対する求人活動が米国人の雇用の機会を奪うという司法省の訴えが増加しており、さまざまな業種のIT関係の企業など数十社が訴えられています。その結果、外国人をこれまで積極的に雇用してきた米国の大手企業が、当面は外国人にグリーンカードをサポートしないという方針を表明するようになっています。さらには、申請内容と同様の仕事を実際にやっているのかについて監査も入っています」。 

前トランプ政権時代は“Buy American, hire American”

荒木さんは、バイデン政権からトランプ政権へと交代した場合は、「バイデンが発令した大統領令は失効すると同時に、STEMで働いている外国人のグリーンカードや就労ビザをサポートしようとする方向性は後退し、ドリーマーに対する人道的な施策も後退するはずです」と述べ、三輪さんにバトンタッチした。

 

三輪さんは第一次トランプ政権時代の移民施策を、次のように振り返った。「トランプ大統領の一番のスローガンは“Buy American, hire American”でした。つまり、『アメリカ製品を買おう、アメリカ人を雇用しよう』ということです。常にアメリカ人の利益を守ることを第一優先とし、移民局でのビザ申請が通りにくく、申請料金が高騰し、(ビザをサポートする)外国人に求める最低賃金が高くなりました。H-1ビザに関しては、エリートのトップの人たちだけが取れるようにしようという方針でした。そして、新規申請ではなく更新案件の場合でも、過去に一度認可されているかどうかは関係ありませんでした。アメリカに基盤がある方々でも、突然更新が却下されました。しかも、追加の資料を出して再検討してもらうという猶予もなく、即刻ビザ申請が却下できる方針も出されるようになっていました。トランプ政権時代には、それ以前に13%だったH-1ビザの却下率が実に24%にまで上昇しました。また、審査が長期化したために、結果が出ないことで身動きが取れないという事態も多く見られました。透明性が下がり、私たち弁護士も政府とコミュニケーションを取ることが難しかったのは事実です」。 

政権交代に備えて企業としてやっておくべきこと

最後に荒木さんは、トランプ政権へと交代した場合の施策の予測と、それに備えて日系企業が備えておくべきことについて、「トランプの主張は以前と変わっていません。アメリカファースト主義でアメリカ人の雇用を優先していきます。第二次政権が誕生しても、その部分は変わらないと思われます。さらに前回に発令した入国禁止令についても懸念されます。前回のトランプ政権時代には、イスラム教徒の米入国を禁止しました(後に違憲判決)。次回、トランプ政権になれば、このような入国禁止や、ビザの申請手続きに関して、追加の事務手続きが増えてくることが予想され、さらに駐在員の帯同家族の滞在期間延長のための申請も慎重に審査されることで、審査期間が延びることが考えられます。また、在日米国大使館でのE-1、E-2、ブランケットLビザ、J-1などの申請の審査も、第一次政権時同様に面接の際に詰問を受けたり、却下されたりする事例が増えることも想定されます」と解説した。そして、以上の予想されることを踏まえて、荒木さんは企業としての対策を次のように挙げた。

1)グリーンカード申請を優先

2)会社の海外渡航ポリシーを見直し、国務省が拡大を導入する米国内でのビザ更新プログラムを活用

3)移民法違反の取り締まり増加への備え 

そして、「最も重要になるのは、移民法や規則に沿った対応という法律業務の当然の方針を守ることでしょう。在日米国大使館の就労ビザ申請に対する寛大な措置や対応を当然として受け入れるのではなく、ビザの選択や申請書類に記載する内容が、法律や規則に照らし合わせて正しい選択であるのか、情報は十分なのかなどを見直し、法律に沿った対応をするべきでしょう」と語り、政権交代を視野に万全の策を講じておくことが強く推奨された後、今回のセミナーは幕を下ろした。

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各部会からのお知らせ

 

サウスベイ地域部会

「トーランスBreweryめぐり」に参加しての感想文

文:在ロサンゼルス日本国総領事館・北川俊一郎さん

ロサンゼルスに到着して1カ月が経ち、現地のお店をいろいろ開拓しようと思っていた矢先、「トーランスBreweryめぐり」なる素敵なイベントのお誘いを受け、去る6月8日(土)、参加してみました!三度の飯よりクラフトビールが好き!?な私としては、アメリカの地ビールを楽しむことができるたまらないイベントです。

 

1軒目はAbsolution Brewing Companyへ。最初はIPAを楽しむことにしました。樽のテーブルを囲んで乾杯!JBAイベントへの参加自体が初めてで、知らない方ばかりでしたが、皆さん気さくに声をかけてくださり、会話もビールも楽しめました♪

 

1軒目の「Absolution Brewing Company」にて、ほかの参加者の皆さん。

1軒目のAbsolution Brewing Companyにて、ほかの参加者の皆さん。

2軒目はScholb Premium Alesへ。こちらも倉庫をリノベーションした感じのお店です。皆さんが王道のAlesを注文する中、私は苦めの黒のIPAを楽しむことに。クラフトビール通としてはたまりません。ビールの種類が豊富だったので、3杯目にPale Aleを注文しちゃいました。この時にはだいぶ酔いが回り、饒舌になっていたかもしれません。

 

2軒目の「Sholb Premium Ales」でも記念撮影。右の手前が私です。

2軒目のSholb Premium Alesでも記念撮影。右の手前が私です。

店内にはエアホッケーやキッズスペースがあり、お子さん連れの家族にもぴったりでした。また、屋外にも席がたくさんあり、気持ち良い風に吹かれ、夕日が沈むのを見ながらビールと会話を楽しめました。またぜひ、いろんなブルワリーを開拓したいです!

 

参加者の皆さんで記念の集合写真も。

参加者の皆さんで記念の集合写真も。

「Port of Los Angeles Tour」に参加しての感想文

文:Mitsubishi Logistics America Corporation・加藤正隆さん

去る6月20日(木)、「Port of Los Angeles Tour」に参加させていただきました。最初に元LA港湾局の森本さんから、戦前LA港近辺に移住して来た日系人の歴史やLA、ロングビーチ港全体の概要について紹介があり、その後、実際にクルーズ船に乗船し、LA港を見て回るという内容でした。

 

ツアー参加者の皆さん、JBA関係者に加え、今回のツアーにご協力くださった「Los Angeles Maritime Museum」関係者の方々で記念撮影。

ツアー参加者の皆さん、JBA関係者に加え、今回のツアーにご協力くださったLos Angeles Maritime Museum関係者の方々で記念撮影。

日系人の歴史の話では、さまざまな経緯を経て、やっと得た土地を戦争によって手放し、強制収容所に入らざるを得なかった人々の話が印象的で、私自身これまであまり触れる機会がなかったこともあり、身につまされる思いになりました。

 

港湾内の眺め。

港湾内の眺め。

また、港の概要説明では、LA、ロングビーチ港だけのコンテナ取り扱い本数が日本全港の取り扱い数に匹敵する点や、LA、ロングビーチ港ではそれぞれLA市港湾局、ロングビーチ市港湾局が存在し、その管理下で運営を行っていることなど、港としての特徴を学びました。

 

クルーズ船の船上の様子。

クルーズ船の船上の様子。

実際に乗船すると、日本ではあまり見られない規模のコンテナ船や最大規模のガントリークレーンを間近で見ることができ、その規模の大きさを実感したことに加えて、トランステーナが無人でターミナル内を動いているなど、港として自動化に向けて取り組んでいる点も垣間見ることができ、その先進性に感銘を受けました。

 

「Los Angeles Maritime Museum」内の一室で、森本さんのお話を伺った際の様子。

Los Angeles Maritime Museum内の一室で、森本さんのお話を伺った際の様子。

あらためてLA、ロングビーチ港が世界的に見て競争力のある重要な貿易拠点であることを再認識した一方で、アメリカで働く上で日本人として肝に銘じておくべきその地の歴史があることを知り、貴重な学びの機会となりました。同イベントの開催をサポートいただきました皆さま、誠にありがとうございました。

 

JBAから「Los Angeles Maritime Museum」への寄付金贈呈も。

JBAからLos Angeles Maritime Museumへの寄付金贈呈も。

あさひ学園だより

文:あさひ学園事務局

全校の幼稚部で歯磨き指導を実施

あさひ学園では、虫歯予防デーの6月4日に向けて幼稚部にて毎年、歯磨き指導を実施しています。各校地域の歯科医院に協力をあおぎ、歯医者の先生に外部講師として訪問いただいています。園児たちは、歯医者の先生が示す大きな歯の模型や紙芝居などを通して、歯の大切さを学び、自分の歯ブラシを使って先生から正しい歯の磨き方を学びました。虫歯菌のイラストを見て、「わぁわぁ、きゃあきゃあ」「こわい!こわい!」と大興奮。それまで歯磨きを嫌がっていた園児も、この日以降はしっかり朝晩磨くようになりました、と保護者からも大好評の特別講演会となりました。 

 

外部講師には、サンタモニカ校には松村先生、トーランス校ではヒラダテ先生、サンゲーブル校では北村先生、そしてオレンジ校ではおなじみの馬場先生がお越しくださいました。歯医者の先生の3人が本校卒業生であり、本校で学んだ時のことを思い出しながら、園児たちには楽しい気持ちで学べるようお話をされたとのことでした。長年の歴史を誇る本校では、自身が幼稚部で楽しく学んだ口腔衛生を、卒業した後に立派な歯医者となって本校幼稚部に戻ってご指導くださる、という誇るべき歴史が脈々とつなげられています。先生方、今年度のご指導も誠にありがとうございました。 

 

各校で歯科医の方々が熱心に指導。写真はサンタモニカ校に来ていただいた松村先生。

各校で歯科医の方々が熱心に指導。写真はサンタモニカ校に来ていただいた松村先生。

JBA役員・企業向けの学校説明見学会を実施

JBAが設立母体であるあさひ学園では、年に一度、JBA役員、常任理事、そして日系企業の方々に向けて、学校説明会および見学会を実施しています。今年度は、入学ご希望の方だけではなく、JBA会員企業で教育関連の方など、たくさんの方々にご参加いただきました。

 

学校説明では、あさひ学園が1969年に設立されてからの沿革や、本校の教育目標や指針、文科省の学習指導要領に即した学習指導、また父母の会の協力とともに学校運営を行っていることなどを具体的にご紹介しました。その後、二つのグループに分かれて実際に行われている授業を見学いただいたほか、幼稚部にお子様を連れてこられた方には、実際の保育にも参加いただきました。

 

参加された皆さんは、幼稚部から中学・高等部まで、学年ごとに違う子どもたちの様子や、先生たちの授業の様子を興味深く参観されていました。また、月曜から金曜まで現地校に通い、土曜日は8時30分から午後3時30分までみっちりと日本語での学習を積み重ねる子どもたちの努力や、保護者の方々のご支援が並々ならぬものであることも実感されたようでした。このように、しっかりと学習に取り組むことで、日本に帰国した時にはもちろん、帰国しなくても在米で、あるいは他国で、国際社会に貢献できる人材となるよう、本校では子どもたちの健全育成に尽力しています。

 

あさひ学園では、年間を通して幼稚部、小学・中学部にて編入を受け入れています。入学にご興味のある方は事務局までお尋ねください。 

 

学校説明会の様子。皆さん真剣に耳を傾けてくださいました。

学校説明会の様子。皆さん真剣に耳を傾けてくださいました。

 

8月、9月のJBAイベントカレンダー

8/3

カタリナ島ツアー

サウスベイ地域部会

8/10(土)

ヤクルト工場見学

企画マーケティング部会

8/24

MLB 観戦 「Padres vs Mets」

オレンジカウンティ地域部会

8/29(木)

第253回ビジネスセミナー

企画マーケティング部会

9/7(土)、9/8(日)

2024年度 JBA第59回ソフトボール大会

企画マーケティング部会

9/15

TANAKA FARMS パンプキン狩りツアー

オレンジカウンティ地域部会

9/21(土)

ビーチクリーンアップ

サウスベイ地域部会

9/22

Irvine Ranch Conservancy Native Seed Farmボランティア

オレンジカウンティ地域部会

9/28(土)

OC vs SB ゴルフ対抗戦

オレンジカウンティ地域部会&サウスベイ地域部会共催

9/29

ゴミ拾いハイキング

ダウンタウン地域部会

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