2024年 1月号  Issue No.423

 

JBA会長、在ロサンゼルス日本国総領事からの新年の挨拶 2024

JBA会長 山本正彦

JBA会長
山本正彦

昨年中もJBAの各種活動にご理解とサポートをいただきまして、まことにありがとうございます。

 

JBAは常任理事会、役員会と7つの部会(商工部会、企画マーケティング部会、教育文化部会、あさひ学園部会、ダウンタウン地域部会、サウスベイ地域部会、オレンジカウンティ地域部会)で積極的な活動を行っていることは皆さまご存知のとおりですが、昨年は全てのイベントがコロナ禍前と同様のin-person形式で開催されるようになり、延べ人数にすると4000人以上の方々にご参加をいただくことができました。JBAの活動は各イベントを企画・運営いただく会員メンバーお一人お一人の熱意によって支えられているもので、実地に開催されない時期が続きますとどうしても実務上の知見継承が困難になってしまう面があります。JBAのミッションである「地域社会との関係強化」「教育支援活動」「会員サービス」などを具現化し続けていくためにも、各イベントが着実に実施されるようになったことは非常に重要なことと感じております。多くの皆さまにご参加いただけている現在の流れを大事にし、今年もますます諸活動を強化・充実させていきたいと思います。

 

私自身はコロナ禍で何もできない状況下で当地に赴任してもうすぐ3年になりますが、最初にLAのダウンタウンを訪れた時にはオフィスワーカーや観光客らしき人の姿をほとんど見かけることができず、オフィスビルの中に入っても全くガランとした状態で、「一体ここで何ができるのだろう」と不安を感じたのを憶えております。アメリカのその後の回復ぶりは皆さんご存じのとおりですが、こうした時期に駐在を経験したことでアメリカという国の強靭さ、困難をチャンスに変えて物事を前に進めていく力を目にすることができたような気がしています。そのアメリカは今年は大統領選を控えています。結果については予断を許さないところですが、共和党・民主党どちらが政権を担うにせよ、コロナからの回復過程で見せてくれたアメリカ経済の力強さが維持される運営を期待したいところです。

 

ドイツに抜かれてGDP世界第4位に転落するとされている日本は、足元のところ残念ながら今一つピリッとしませんが、今後のさらなる成長を目指していく上で、あらためてアメリカという存在には参考とすべき点が多いように思います。JBAとしては、アメリカでのビジネスチャンスを希求される企業の皆さまと現地社会との懸け橋の役割を担っていくべき引き続き努力してまいる所存です。皆さまにもJBAの活動にさらなるご理解をいただくと共に、引き続きましてのご協力をお願い申し上げたいと思います。

 

未筆とはなりますが、2024年が会員の皆さまにとりまして素晴らしい1年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

JBA会長 山本正彦

在ロサンゼルス日本国総領事
曽根健孝

新年明けましておめでとうございます。

 

日米関係は、かつてない強固な同盟関係にあります。しかし、歴史的な転換点にある中で世界の安全保障環境は厳しい状況にあり、国家間の良好な関係は双方のたゆまぬ平和への努力の上に成り立つことを示しています。私は、新しい年においても、さまざまな地域、コミュニティー、各分野などにおいて、草の根レベルでの人と人のつながりを作り、育てていくことに努め、良好な日米関係を一層の高みに導く一端を担いたいと考えています。

 

世界最大規模の在留邦人数、日系コミュニティーの規模、そして日本への玄関口でもある当地の公館としては、領事業務が最重要業務の一つです。昨年(2023年)3月末には、旅券及び査証業務において、また、11月末からは証明業務においてオンライン申請・手数料のオンライン納付を開始しました。在留邦人の皆さまの安全確保とともに、各種サービスの利便性向上を目指し引き続き取り組んでまいります。

 

昨年は、ポスト・パンデミックの交流再開が始まり、当館としても将来を見据えたさまざまな分野での交流の再活性化を目指してまいりました。

 

日本とカリフォルニアは太平洋を跨いで隣り合っており、その経済関係は双方の経済団体の協力や民間企業が担うビジネスなどによって、力強く支えられています。昨年、米国政府は米国内での水素インフラへの投資拠点を決定し、カリフォルニア州はその筆頭として挙げられました。今後、日本が誇る水素技術等にますます期待が注がれ、港湾での実証事業や関連インフラへの投資などと相まって日カリフォルニアの経済関係が一層発展していくことが期待されます。当館としては、官民一体となった活動を力強く支援してまいります。また、日本食や酒類のさらなる普及・輸出促進にも日本貿易振興機構(JETRO)、日本食レストラン、食品業界関係者の方々などとも連携して取り組んでまいります。

 

広報文化分野では、当館は、ジャパンハウスや国際交流基金とともに、一層の発信に努めていきます。南カリフォルニアは、相当程度の日本文化、日本語が既に普及している地域ではありますが、米国人に対する日本語普及に加え、在留邦人や日系人の家庭での継承日本語の普及促進にも一層力を入れていきたいと考えています。文化の発信では、伝統文化に加え映画や音楽といったエンターテインメント分野でも日本のプレゼンス強化に努めたいと思います。

 

同時に、米国社会を牽引する各界の日系人リーダーが、我が国の関係者との間で、今後の日米関係強化に資する関係を造り上げていっていただくことを願いつつ、特に若手の次世代リーダーの方々に重点をおいて引き続きそのための機会創出の努力を続けていく所存です。

 

最後に、在留邦人、日系米国人そして南カリフォルニアの皆さまの新しい年におけるご健康、ご多幸そして日米関係の一層の発展を祈ってご挨拶とさせていただきます。

 

Tanaka Partners 米国でのM&A・事業進出をお考えの日系企業の皆様 竹中パートナーズのグリーンフィールドリサーチを是非ご活用下さい!

 

教育文化部会

「親子で学ぼう、『強い心』の育て方」ウェビナー報告

去る11月4日(土)、医科学博士で心理カウンセラーの河瀬さやかさんを講師に迎えたセミナー、「親子で学ぼう、『強い心』の育て方」をオンラインで開催した。

【講師】河瀬さやかさん

【講師】河瀬さやかさん

Ph.D LCSW

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校ソーシャルワーク専攻で修士号を取得後にLCSW(Licensed Clinical Social Worker)の資格を取得。その後、山梨大学のメディカルエンジニアリング専攻で博士号を取得。東日本大震災の被災地支援を行う非営利団体「Kokoro Wellness Network」のバイスプレジデントを務める。心理カウンセラーとしてトーランスでクリニックを開業。

www.sayakakawase.com

強い心とは?

河瀬さんは強い心を柔軟にしなる木(右)に例えた。

河瀬さんは強い心を柔軟にしなる木(右)に例えた。

河瀬さんは、冒頭で「日々、トラウマを抱えた患者さんに対応する中で、(患者さんが)強い心を持っていれば、そこまでの状況に追い込まれないのではないか、早い時期に解決策を知っていることが重要ではないかという思いに駆られています。そこで、小学生にはもちろん、大人にも分かってもらえるような強い心の育て方について今日はご紹介したいです」と、今回のセミナーの目的について語った。

河瀬さんはまず、スライドに大きなどっしりした木と、風に吹かれている細い木を映した。「みなさんはどちらが強い木の象徴になると考えますか。心理学では、柳のような木を強い木だと考えます。(風に吹かれた時に)ぽっきりと折れてしまうのではなく、その時の状況に対応して柔軟にしなることで生き延びることができるからです。そのたくましさはResilience(レジリエンス)という言葉で表現されます。レジリエンスとは、困難から回復する能力や困難から学ぶ成長する能力のことです。それを身に付けることで強くなります。しかし、ヘリコプターペアレントと呼ばれる、子どもの上空を飛びながら見張って、障害物が近付いたら子どもに伝える親がいます。さらに最近では、ブルドーザーペアレントといって、障害物を積極的に除外していく親もいます。しかし、強い子どもを育てるためには、それは絶対にやってはいけないことで、小さいうちに転んでおいた方がいいのです。そして、回復力を身に付けるためにやっておくといいのは心のIQを上げておくことです」と話した河瀬さんは続いて、心のIQが高い人について解説した。「まずは、自分の感情の強みや弱さ、価値や目的に気付く力、そして混乱をもたらす感情や衝動を制御する力を備えている人です。これら二つができるようになると、さらに社交力や共感力も自然に育ちます。これらは、実は大人でも育っていない人がたくさんいます」。

心のIQの育て方

心のIQを育てていくために、最初の二つの「気付く力」と「制御する力」を育てる方法について解説した。「感情の種類は実に多く、怒りと悲しみが同時に入ってくる場合もあります。お子さんに対しては、『どんな気持ちになった?』『どうしてかな?』『それでどうなった?』などの問いかけによるコミュニケーションを通じて、本人に感情を認識させます。そして、感情表現の練習をさせて、さらに感情の意味を理解してもらい、原因と結果について学ぶように導きます。制御する力に関しては、感情というのはシフトするのだということを理解した上で、例えば怒りに関してはアンガースケール(怒りの物差し)を使って、怒りのレベルを1から10に分けます。そして、最高に怒った時に本人は何をするのかを自覚させて、常に怒ってもレベル7を超えないように意識することで、感情を制御する方法を学ばせます」。

このように、子どもには常に声がけをして、その問いに対して本人が答えを考える時間を取ることが強い心を育むことにつながるのだと説いた河瀬さんは、「壁にぶつかりそうになった時がチャンスです。その時に本人に考えさせましょう。そして、親としても自分はどうだったか振り返って考えてみてください」と、コミュニケーションの重要性を呼びかけた。

困難な状況こそ絶好の機会

次のテーマは「海外在住中に見逃したくない子育て」。河瀬さんは海外在住時こそ、人格が大きく形成されるチャンスの時期だと強調した。「まず、英語ができないというディスアドバンテージが子どもにのしかかります。しかし、英語が分からない、というのは実は、効果的に利用できる障害物です。どういうことかというと、ハンディーキャップを背負った自分と向き合うことになり、自身について考えるようになるからです。さらに、ここアメリカでは多文化、多人種と触れ合うことができます。それによって日本ではほとんど知ることができない、世界の多様性を見ることができます。つまり、英語ができないかっこ悪い自分と向き合いながら、いろいろな人と向き合う中で、自分とは何者だろうと考え、アイデンティティーを確立させることができます」。海外駐在では言葉が分からず、現地社会に溶け込むのが難しいとその状況から逃避する人も少なくないかもしれないが、河瀬さんは「この状況から逃げないでください。そして困ってください。居心地の悪い状況の中でどうすればいいか、解決策を子どもだけでなく親も一緒になって考えてください」と、不利な状況こそが成長の絶好の機会なのだと語った。

人との距離感は自分で決める

最後は、大人も参考にしたい「ストレスフリーな人間関係の仕組み」について、河瀬さんは実践的なアドバイスを提供した。「私のところに相談にくる多くの人は人間関係によるストレスに悩まされています。しかし、人間関係の悩みを劇的に減らす方法があります。それは相手の人との間に境界線を設けることです。自分の次に家族や親友、さらに仲の良い従姉妹、大学の友達など何層もの人間関係の距離を設け、この人はどこの層に置こうかと自分で決めればよいのです。自分の子どもだからといって、必ずしも家族の層に置く必要はありません。また、最近、嫌なことばかり言う10年来の親友を、親友の層に置かなくてもいいのです。しかし、その後、その人が以前のように親しく感じられるような存在になれば、遠くの層から近くの層に変えることができます。境界線は流動的であり、何年も付き合っている人だから距離を置くべきではないという罪悪感は邪魔です。そのままにしていると、罪悪感はやがて怒りに変わります。相手との距離を決めるのは常に自分であり、決めてしまえば今日からでも人間関係を改善することが可能になります」。

こうして、強い心の育て方から人間関係の悩みの解決方法まで1時間にわたって詳細に解説された後も、参加者から多くの質問が寄せられ、人々のテーマへの関心の高さが実感できる教育ウェビナーとなった。

 

企画マーケティング部会

第249回JBAビジネスセミナー「パンデミック以降の米国裁判・仲裁への変更:テック発展、テックツール、AI、勝訴戦略」報告

【講師】北川リサ美智子弁護士

J.D.,LL.M.,Esq.

北川&イベート法律事務所パートナー弁護士

カリフォルニア州・テキサス州・ジョージア州・ニューヨーク州・ミシガン州弁護士。東京大学研修・京都大学法学修士。米国弁護士協会会員、米国連邦最高裁判所認定弁護士。

 

【講師】ジェームス・R・イベート弁護士

J.D.,CPA. Esq.

北川&イベート法律事務所パートナー弁護士

カリフォルニア州・テキサス州・ジョージア州・ネバダ州・アラバマ州・ミシガン州弁護士。カリフォルニア州公認会計士。京都大学法学研修。米国弁護士協会会員、米国連邦最高裁判所認定弁護士。

 

www.japanuslaw.com

去る11月9日(木)、JBAとしては初の試みとなった対面式とオンラインによるハイブリッドのビジネスセミナー「パンデミック以降の米国裁判・仲裁への変更:テック発展、テックツール、AI、勝訴戦略」を、北川弁護士とイベート弁護士を講師に迎えて開催した。

裁判に持ち込むか、仲裁で解決するか

冒頭、北川弁護士は「このパンデミックの3年半のテクノロジーの発展には目覚ましいものがあります」と、米国裁判所の裁判手続きでもIT化が進んでいることに触れた上で、米国での裁判の実態について語った。「一部の裁判所ではZoom会議、リモートヒアリング、電子ファイリングなどの普及が進んでいます。先日、私がフロリダに出張していた時にミシガンの裁判所から呼び出し命令がありましたが、『Zoom』でミシガンの裁判に出廷することができました。このようなことは以前には不可能でした」。

また、裁判所の予算も考慮しなければならない。「カリフォルニア州オレンジ・カウンティーの裁判所は規模では全米6位に位置しています。しかし、予算不足により裁判官が足りず、申し立てがあったケースのうち裁判に進むのは1%のみです。実際の裁判を経験している米国弁護士は現実的にはごくわずかです。つまり99%のケースが裁判外の仲裁で解決しているのです。仲裁はこれからもっと増えると考えられています」と、北川弁護士は仲裁裁定のメリットとデメリットを次のように挙げた。

【仲裁裁定のメリット】

  • 相対的なコストを下げる。
  • 訴訟にかかる時間を短くする(企業がスケジュールをコントロールできる)。
  • 審問の日時を明白にできる。
  • 陪審評決のリスクを減らすことができる。
  • 専門的知識のある仲裁者を指定できる。

【仲裁裁定のデメリット】

  • 上訴権利が著しく狭まる(ほとんど上訴できない)。
  •  公判前の救済策がさらに難しくなることもある。

続いて北川弁護士は、日系企業の駐在員が直面する米国と日本の訴訟裁判の異なる点を次のように列挙した。

【米国の訴訟裁判における日本との基本的な違い】

  • 弁護士とクライアント間のコミュニケーションの秘匿特権
  • 民事事件での陪審員裁判
  • 証拠開示
  • 法務手数料と費用

北川弁護士は、日系企業にとってはケースの内容をコンフィデンシャルに維持することが重要であり、仲裁で解決するのが最善だと強調した。「裁判所は誰でも入ることができるパブリックな場所です。時にはメディアのカメラが入ることもあります。その点、仲裁では情報をコントロールすることができます。そこがキーポイントです」。

また、裁判の場合は「スケジュール管理が難しい」と次のような例を挙げた。「先ほど述べましたように、オレンジ・カウンティーの場合、裁判に充てる予算が少ないので裁判官が足らず、しかも優先順位は刑事が先で民事は後回しになります。つまり、民事裁判が始まるからと日系企業の日本本社の方がわざわざカリフォルニアにやってきても、予定通りに裁判が開廷しないことが往々にしてあります」。

リモート裁判と書類のデジタル化、裁判所のテックチェンジ

次に裁判所におけるテクノロジーの発展について、北川弁護士は次のように語った。「電話会議のシステムはパンデミックの前にもありましたが、発展はしていませんでした。最近、書類は全てEファイル化されていますが、以前は全て紙でした。パンデミックの間に『Zoom』によるリモート裁判とEファイル化が加速しました。刑事裁判においても、以前は全て対面式だったので、被告が留置場からバスで裁判所に移動していたなど、安全面で懸念がありました。さらにテックチェンジ、特にリモート裁判によってクライアント側に生まれたメリットは弁護士費用です。以前、弁護士は移動時間も全てチャージしていたので、裁判所に行くまでに渋滞にはまるとその分も請求していました。今は(リモートの場合は)移動時間を請求する必要がないので、弁護士費用を安く抑えることが可能です」。

ただし、北川弁護士はリモート裁判が可能な場合でも必要だと判断すれば、実際の裁判所に弁護士は足を運ぶべきだと語った。「最初のヒアリングはリモートではなくて、裁判官の前に行くことが重要です。それによって、アイコンタクトもできるし、裁判官に対して敬意を表明することができます。また私の場合、裁判官の目を見て、その裁判官が私のクライアントである日系企業を信頼しているかを判断するようにしているからです」。また、AIに関しては、「最近は弁護士も書類検索のために多用します。非常に仕事が早く進むメリットがありますが、まだ正確性に問題があります」と語った。

「Zoom」によるウェビナー側でも、スライドを使って分かりやすく説明がなされた。

「Zoom」によるウェビナー側でも、スライドを使って分かりやすく説明がなされた。

さらに、イベート弁護士がアメリカにおける訴訟の流れ、つまり訴答(PLEADING)]」「証拠開示(DISCOVERY)」に始まり「モーション(MOTIONS)」「裁判/仲裁裁定(TRAIAL/ARBITRATION)」「裁判後(POST TRIAL)」までについて解説すると、日系企業は特に、Eメールの内容を全て提出しなければならないために証拠開示のプロセスが非常に大変だと北川弁護士が補足した。

こうして、トラブルを解決する際にきちんと秘密保持をし、スケジュールを管理しやすくするには、訴訟よりも仲裁裁定を勧めると北川北側弁護士は繰り返し強調し、最後に「日系企業の皆さんは、できるだけ弁護士と早期に相談してください。トラブルが起こってから相談する企業が多いですが、何らかの契約書を結ぶ前、またはビジネス戦略に出たり、雇用を開始したりする前に相談するのがベストです」というアドバイスを送った。

最後に、弁護士の選び方について「カリフォルニア州にいる場合は、カリフォルニア州弁護士資格を持つ弁護士を雇うべきです。バイリンガルでニューヨーク州の弁護士資格を持つ日本人弁護士は多いですが、注意すべきことは、カリフォルニア州の弁護士資格も持っている方は極めて少数だという点です。また、バイリンガルでも、英語が母国語である弁護士を雇うことを勧めます。アメリカでのトラブルを解決する以上、法的な書類の書き方、さらに相手への言い方においてリスペクトを上手に表現する必要があります。また、裁判を希望する場合は弁護士にその経験、特に勝訴の経験があるかどうかがポイントになります。弁護士でも裁判の経験がないという人が多いのが実態なのです。さらに近年は弁護士資格を持たずに法務アドバイスを提供するバイリンガルのコンサルタントが増えていますが、彼らはライセンスを持っていないため、(クライアント側に)リスクがあるという点にご注意ください」という、具体的なアドバイスでセミナーを締めくくった。

 

サウスベイ地域部会

第23回「TACC(トーランス商工会議所) / JBAグランドミキサー」を開催!

去る11月15日(水)、トーランス商工会議所(TACC)とJBA会員企業とのネットワーキングを目的とした、今回で23回目となる「TACC / JBAグランドミキサー」を開催した。

TACCとJBAの代表が、さらなる関係強化を訴える

当日、会場となったトーランスのMiyako Hybrid Hotelには雨模様の中、午後5時前から多くの参加者が集まり始めた。参加者はJBAから60名、TACCからは35名の合計95名。受付で渡された、初めての人との会話の糸口となる「ネットワーク・ビンゴ」のカードを片手に、参加者たちはプログラム開始前から積極的に交流を始めていた。プログラム開始は、TACCのプレジデント兼CEOであり、この日のMCを務めるドナ・デュペロン氏によって宣言された。

MCはTACCプレジデント兼CEOのデュペロン氏が務めた。

MCはTACCプレジデント兼CEOのデュペロン氏が務めた。

その後、Kintetsu Enterprises Company of Americaの南浦彰氏が登壇し、「今年着任したばかりです。私の名前、南は英語でSouth、浦はBayの意味です。どうぞ、『サウスベイ』と覚えてください」と挨拶して大いに会場を沸かせた。続いて、TACCの次期委員長のラリー・ハルヴォーセン氏が「私がこのイベントに参加するのは10回目ですが、この地域の日系企業とのパートナーシップには非常に感謝しています。今後も日系企業との関係を強化していきたいです」と述べた。

明るい挨拶で会場を沸かせた南浦氏。

明るい挨拶で会場を沸かせた南浦氏。

「日系企業は非常に重要な存在」と語るハルヴォーセン氏。

「日系企業は非常に重要な存在」と語るハルヴォーセン氏。

次に登壇したトーランス市議のジョン・カジ氏は「私たちトーランス市にとって日系企業は非常に重要な存在であり、米系企業には多くの日英バイリンガルの人材が活躍しているので、彼らを橋渡しに互いの関係を深めていければと願っています。さらにこれからも新たな日系企業のトーランスへの進出を歓迎します」と、トーランス側の受け入れ体制が万全であることをアピールした。

「日系企業の進出を歓迎する」とメッセージを送るカジ議員。

「日系企業の進出を歓迎する」とメッセージを送るカジ議員。

続いて、在ロサンゼルス日本国総領館の曽根総領事が挨拶に立ち、「カリフォルニアにおける一番の投資国は日本であり、また南加に進出している日本の企業の4分の1がトーランスに集中しています。この拠点を中心に今後も日米のビジネス交流を深めていただきたいと強く望みます」と、いかにトーランスが日系企業にとっての要所であるかを強調した。さらに山本JBA会長による「鏡開きとは何か」についての解説に続き、デュペロン氏、ハルヴォーセン氏、カジ議員、曽根総領事、山本会長が鏡開きを行った。

「トーランスは日系企業の拠点」と強調する曽根総領事。

「トーランスは日系企業の拠点」と強調する曽根総領事。

鏡開きについての説明をする山本JBA会長。

鏡開きについての説明をする山本JBA会長。

山本JBA会長による鏡開きについての説明の後、和やかに行われた鏡開き。

和やかに行われた鏡開き。

鏡開きに使用された日本酒「久保田」で乾杯した後は、参加者同士の歓談タイムに移行した。また、TACC側から出展したAmerican Honda Motor Co., Inc.のブースでは、同社の製品についてスタッフがJBA会員に熱心にデモンストレーションをする光景も見られた。歓談タイムが終わると、「ネットワーク・ビンゴ」の当選者が発表され、MCのデュペロン氏による「来年もまたこのイベントでお会いしましょう」との閉会の言葉で、盛況のうちにイベントは終了した。

会場に出展したブースの模様。左よりLingo Mii Inc.社とRelo Redac, Inc.社。

会場に出展したブースの模様。左よりLingo Mii Inc.社とRelo Redac, Inc.社。

American Honda Motor Co., Inc.のブース。

American Honda Motor Co., Inc.のブース。

「トーランスは日系企業の拠点」と強調する曽根総領事。

「ネットワーク・ビンゴ」の賞品当選者の皆さん。

積極的に交流が行われた会場の模様。

積極的に交流が行われた会場の模様。

SMBC MANUBANK - Welcome to SMBCBANK: Where Local Expertise Meets Global Reach
SMBC MANUBANK - Welcome to SMBCBANK: Where Local Expertise Meets Global Reach

 

あさひ学園事務局

2023年・あさひ学園高等部弁論大会、最優秀賞受賞弁論の発表

去る10月、11月にかけて、あさひ学園高等部がオレンジ校、トーランス校、サンタモニカ校にて弁論大会を実施し、3校合わせて64名の高校生が、多くの聴衆の前で個性豊かな弁論発表をした。高校生たちが熱弁を振るった大会の模様および最優秀賞受賞生徒とその弁論を紹介する。

サンタモニカ校最優秀賞「漫画ワールドを築こう」
サンタモニカ校高等部1年 ・秋吉莞爾さん

 

今年の夏、僕は四年ぶりに日本に行きました。そして「あること」に気づいたのです。コンビニのポスターには「ONE PIECE」、ゲームセンターのスロットには「北斗の拳」、街のビルボードには「推しの子」、駅の「ポイ捨て禁止」サインでさえ「ゴルゴ13」。漫画、漫画、漫画、漫画。。。これはアメリカに帰っても続きました。「チェンソーマンの最新話、見た?」「見た見た!今週の進撃の巨人も面白かったよ!」学校ではこんな会話ばかり。そして僕は思ったのです。世界では韓国や中国が工業をリードし、ロシアやアメリカなどの大国が世界一の軍事力を誇る中、僕が、日本が、胸を張って「これこそ日本だ」と言えるものはなんだ。漫画だ。漫画こそ、これからの日本を作っていくための土台なのです。

 

中学1年生の冬、僕は両親からクリスマスプレゼントとして荒木飛呂彦先生の代表作、「ジョジョの奇妙な冒険」の第4部をもらいました。それは架空の町「杜王町」を舞台に様々な「スタンド使い」という超能力者たちが暴れまわるバトル漫画で、僕はその天才的な超能力のアイデアと個性的な絵、そしてその鳥肌が立つような効果音に心を奪われたのです。しかしジョジョを読んで何より印象深かったのは セリフです。ジョジョの奇妙な冒険第4部の最後の敵は、ごく普通の会社員になりすました連続殺人犯、吉良吉影で、人間的には最低なのですが、そんな彼が残した言葉が僕の心に刺さりました。「激しい「喜び」はいらない、そのかわり深い「絶望」もない…「植物の心」のような人生を…そんな「平穏な生活」こそ私の目標だった…」彼はそう言ったのです。僕はシビレました。ゾクゾクしました。彼の、自分は社会に受け入れてもらえないとわかっていながら、それでも少しでも普通の生活を送ろうとする姿勢に僕は子供ながら憧れすら感じたのです。まあ相手は犯罪者なので憧れなんて感じてはいけないんですけどね。でもこのセリフのおかげで漫画の芸術性、エンタメ以上の表現力に気づくことができたのです。人間の本質的な希望や欲望、正義や悪に対して僕は 深く考えさせられたのです。漫画にですよ?

 

日本の未来は漫画だ、これは根拠のない発言ではありません。そしてそれを証明するために、まずは歴史を振り返ってみましょう。日本の漫画は平安時代の「鳥獣戯画」を元に目まぐるしい発展を遂げてきました。江戸時代には葛飾北斎の書いた「北斎漫画」、そして近代になり手塚治虫などの巨匠の手によって、さらにその芸術性を高めました。そして日本が漫画とどれほど相性がいいかを実感できるのはやはり色です。西洋の洋画などでよく見られる鮮やかな配色のために必要な「顔料」が乏しかった日本では、炭を使用した白黒の墨汁画が発展しました。先程挙げた鳥獣戯画や北斎漫画などが墨汁画の恰好な例です。表現の可能性が白と黒に制限された中、当時のヨーロッパにはなかった発想が日本では誕生しました。その発想とは、描くものを全て輪郭線で表現することです。陰と陽、光と影を色で描く西洋の画家にはモチーフを記号化し、輪郭線で表すという発想は生まれませんでした。古来から白黒のみを使用してきた日本の漫画は唯一無二なのです。

 

さて、三兆四千百七十億円。唐突ですが、なんの金額だと思いますか?実はこれ、2022年の日本のコミック・アニメ市場の総額なのです。想像もできない額ですよね。三兆円あれば、カリフォルニア一高価なマンションが十軒、世界一高いプライベートジェットが百機、最新型のランボルギーニが1000台、アメリカに一軒家が一万五千軒買え、余ったお金で子供の代まで遊んで暮らすことができます。ではそれに対し三百万円。何の金額だと思いますか?これは日本の漫画家の平均年収です。生活費を払うのがやっとですね。しかも漫画家はデビューする前に編集者に原稿を持ち込むのですが、この工程は五年以上かかったりすることもあります。一生懸命に書いた原稿を持ち込み、ボツを出されるのを繰り返す五年間、出版社からは一円も払われません。一円もです。おまけに先程の三百万円という平均額はワンピースやドラゴンボールなどを生んだ超巨大漫画家によって大きく底上げされています。なので実質新人漫画家の収入はスーパーのパートと同じくらいなのです。一万人でも一生使い切れないような額と来月の家賃が払えるかわからないような額。この差が存在する理由はいくつかあります。

 

1つ目は漫画の始まり。漫画はもともと子供たちの娯楽として始まりました。よって、多くの親から漫画は下品なものとして見られ、結果的に漫画家は「まともな職業ではない」、と世間から批判されるようになったのです。もう一つは漫画制作のシステムにあります。漫画家の収入は、すべて本人のものにはなりません。多くはアシスタントたちの給料や食費、仕事場を設置する費用、編集者、出版社、運送業者、印刷所に支払われます。ですから、漫画家たちの取り分はとても少ないのです。そしてその少ない取り分のために漫画家たちは年中無休で仕事をし続けています。例えば有力な漫画雑誌「少年ジャンプ」等と契約している漫画家は、週に19枚などといったとてつもないページ数を求められます。毎週毎週漫画家たちは編集者とアイディアを練り、ネームを書き、下書きをし、ペン入れを行います。家族とゆっくり休む暇もなく、安定した休日もありません。そのせいで多くの漫画家たちは副業を行いながら漫画を書くことになるのです。

 

漫画は、エンタメであると同時に我々に思考する機会を与えてくれる一つの芸術なのです。その芸術に携わるクリエイターに、十分な仕事のできる環境が求められています。漫画家たちのために、私達ができることはいくつかあります。好きな漫画があれば本屋さんで買うこと、SNSなどを通して自分が気に入ったクリエイターを宣伝すること、そしてファンレターなどで応援することを提案したいと思います。漫画家をサポートする事により漫画家たちの境遇を改善できれば、書かれる作品もより良くなるはずです。作品の質が向上すれば読む人も増え、結果的に漫画そのもののサポートにつながるのです。漫画家が質の高い作品を世の中に出し、読者は漫画によって知識の幅を広げ人間的な深さを増すことができる世界、そんな漫画ワールドの構築が、僕は可能だと思います。ご清聴ありがとうございました。

 

サンタモニカ校の最優秀賞を受賞した、高等部1年の秋吉莞爾さん。

サンタモニカ校の最優秀賞を受賞した、高等部1年の秋吉莞爾さん。

サンタモニカ校の受賞生徒たち。

サンタモニカ校の受賞生徒たち。

トーランス校最優秀賞「鏡の中の自分の背中」
トーランス校高等部1年・布山華さん

 

鏡よ鏡、世界で一番美しい人は誰?真実を映し出す鏡の物語は聞いたことがあると思います。ですが、これは童話の中の話。わたしは、嘘を映し出す鏡が存在すると思っています。鏡の中の自分の姿が反転しているのを知っているかと思います。鏡の前に立って、右手をあげると、そこに映る自分があげるのは左手です。この時わたしたちの目に映っている姿は左右が入れ替わっています。鏡とはそういうものだと理解している人が多いと思います。わたしが嘘を映し出す鏡が存在すると考える理由は、鏡に映る自分と、他人から見た自分の姿が異なっているからです。今みなさんが見ているこの顔が、わたしの本当の姿だとします。鏡は、この顔をそのまま映さず、わざわざひっくり返した別の顔をわたしに見せてくるのです。鏡は嘘をついているといってもおかしくはない、そう思いませんか?

 

東京大学名誉教授の高野陽太郎は、鏡の反転と、それに対する人々の認識についての調査を行いました。実験データの結果、「鏡に映った自分と相対したとき、左右が反対になっているとは感じない人が、じつは3~4割もいる」ことがわかったのです。これは、人々が鏡の中の存在しないはずの自分の姿を、本物だと誤認しているからだと考えました。例え話をしましょう。わたしたちの知らない鏡の中の世界で、もしもすべてが反転していたら、と考えたことはありませんか?「すべて」が反転している、つまり、ただ単に右と左が逆になるという単純なものではありません。鏡には映らない、人々の内面までもが変わるということです。泣き虫な人は笑い上手になり、せっかちな人はマイペースになる。犬派は猫派に、きのこの山派はたけのこの里派に、誰もがいつもと真逆の個性を持つ世界になるのです。果たして、そんな鏡の中の自分は、本物の自分だといえるでしょうか。例え見た目がそっくりでも、鏡の中の自分は全くの別人。もしそれが本当だとしたら、わたしたちは今まで、嘘をつく鏡に騙されていたことになります。鏡を通してでしか見ることのできないわたしたちの背中には、一体なにがあるのでしょうか。

 

もしも自分の声が、他人から聞くと別人のように聞こえたら?これは、「もしも」ではない本当の話なのです。スマホで録音した自分の声が、「変」だったり、「なにか違う」と感じたことはありませんか?この違和感の正体は、音の伝わり方の違いです。自分から発せられた声は、骨を振動させることで聞こえます。その反面、スマホや周りの人には、同じ声でも空気を通して届いているのです。その結果、自分の声は、自分が思っているよりも高く聞こえるのです。わたしたちの脳は、本来の自分の声を勘違いしていると言えます。このように、人は自分のことでさえ完全に理解することは不可能なのです。「自分」は、様々な視点から見ることで初めて理解できます。六つの面がある箱は、正面から見るだけではどのくらい大きいのかわかりません。同じように、鏡を見るだけでは自分の一つの面しか見られない。それでは、その側面や背後は見ることができません。

 

本題に移りましょう。姿も声も、何者なのかわからないまま自分を決めつけてしまっていませんか?「自分の見た目はこうあるべきだ。」なんて言っても、鏡に嘘をつかれたら、自分の姿を見ることさえできません。でも、わたしも人のことは言えません。

 

わたしは小学生の頃からずっと、英語を喋るのが嫌いでした。下手な発音を指摘されるのが嫌で、無意識に英語での会話を避けてしまっていたのです。日本人の友達ばかり作り、言語という壁をなかなか乗り越えることができませんでした。大きなきっかけとなった出来事が起きたのは、中学に上がり友達と離れ離れになった時のこと。初めてはいるクラス、緊張しながらも席に着こうとしたその時でした。まだ話したことのない、少し背の高い女の子が、とびっきりの笑顔でわたしに話しかけてくれたのです。彼女と話すようになってから、人に話しかける勇気が出せるようになり、いつの間にか英語が上手くなっていました。そこで初めて、自分は「英語が嫌い」なのだと決めつけてしまっていたことに気づきました。わたしが乗り越えられないでいた壁は、言語ではなく、自分で作った壁だったのです。

 

わたしの友達にも、同じような勘違いをしていた人がいます。彼女は自分の歌にあまり自信を持っていませんでした。けれど、あるとき久しぶりにカラオケにいき歌を歌った時、その曲を歌うことを楽しいと感じた。自分が苦手だと思っていたことが簡単にできたのです。これは、その子にとって予想外の結果かもしれません。ですが、それによって彼女は自分の勘違いに気付くことができたのです。もしずっと、自分にはできないと否定したままでいたら、きっとチャンスを逃していたでしょう。

 

「できない」「嫌い」「無理」と言った言葉で、自分を否定しているのは、鏡の向こう側に住む、あなたに似た誰かが吹き込んだ思い込みなのではないでしょうか。皆さんはきっと、自分のことを理解できていません。そしてわからないのなら、鏡ではなく、自身と向き合ってみませんか?何よりも先に自分を信じて、焦らず、本当のあなたを見つけてあげてください。どんな見た目をしていても、例え背中に翼が生えていなくても、あなたは世界でたった一人しかいないあなたですから。

 

トーランス校の最優秀賞を受賞した、高等部1年の布山華さん。

トーランス校の最優秀賞を受賞した、高等部1年の布山華さん。

「日系企業の進出を歓迎するトーランス校の記念集合写真。」とメッセージを送るカジ議員。

トーランス校の記念集合写真。

オレンジ校最優秀賞「言葉の持つ力」
オレンジ校高等部1年・カサヴァン諒さん

 

皆さんはきっと、言うつもりでなかったことや後悔していることを口にした経験があると思います。しかし、皆さんが誇らしく、懐かしく思い返せるような言葉を口にしたこともあるはずです。私は、自分の言葉で人を傷つけたこともあるし、間違ったタイミングで何かを言ってしまったこともあります。でも、人を喜ばせたり、笑わせたりしたこともあります。「言うだけタダ」という言葉をよく耳にしますが、言葉というのはタダではなく、軽いものではなく、重く、力強いものであり、計り知れない力を持っています。

 

思い出してみてください。ここにいる皆さんの誰もが、誰かの言葉によって不快になったり、不愉快な気持ちになったり、怒ったりした経験が一度はあるはずです。言葉はナイフよりも鋭い武器になるのです。悪意のある言葉はもちろんですが、無意識に放った言葉でさえ、大きなダメージを与えるときがあります。「その服、太って見えるよ」「前の髪型の方が似合っていたのに」のような、ちょっとした一言で、憎しみや悲しみといった悪い感情を生み出してしまうこともあります。

 

ここで、私自身が数ヶ月前に経験したことを聞いてください。ある朝、私はインスタで見たモデルを真似て、自分の髪をポニーテールにしてみました。なかなかうまく結べて、その見た目を気に入っていました。鏡に映る自分がかなり格好良く見えたのです。母にも「イケてるね」と言われて、その日はワクワクした気持ちで現地校に行きました。しかし、学校に着いた途端、友達から「それ、変だね」と言われたんです。今思えば、初めての髪型だったので、友達が見慣れていなかっただけなのかもしれません。しかし、その言葉に私は大きなショックを受けました。それ以来、私は公の場でポニーテールにすることはなくなりました。こんな些細な一言がこれほどまでインパクトを与えるなんて、「ちょっと大げさに捉え過ぎているのでは?」と思うかもしれません。しかし、それは違います。悪意のない一言でさえ、顔にパンチを食らう以上の力があるのです。

 

そうです。無意識に何気なく口にした言葉で誰かを傷つけてしまうことがあります。私もこの友達と同じように、人を傷つけてしまったことがあります。次は、そのときの話をしましょう。中学2年生の時、社会の授業で、友達が「全議員の人数は何人か」と私に質問してきました。彼はクラスで一番成績が良く、私もちょっと羨ましく思っていました。私は正解がわからなかったにも関わらず、「何言ってんの?わかって当然じゃん」と返してしまいました。そのときは深く考えずに言ってしまったのですが、友達は顔を赤くして怒りました。その夜、自分が彼の気持ちを理解できず言葉を発してしまったと気付き、とても後悔しました。後ほど謝り、彼とは仲直りしましたが、その罪悪感が私に大切なことを教えてくれました。それは、人を傷つける言葉は他人はもちろん、自分自身をも傷付けてしまうということです。

 

相手の気持ちを思いやらない言葉、また、あえて、口にすべきときに発しない無言の言葉によっても、深く人を傷つけてしまうことがあります。ここで、私がお伝えする例は少々極端かもしれません。しかし、現在の私たちを取り巻く現実であり、決して他人事ではない事実でもあります。私たち世代が自ら命を絶ってしまう「自殺」は増加傾向にあります。多くの人々はこれをSNSの影響によるものと考えがちです。しかし、それがSNSであろうと直接の対話であろうと、言葉は確かに人々を傷つけることを物語っています。日本では2022年に512人の青年が自殺を選んでしまいました。そしてアメリカでは、若者の死因で二番目に多いのが自殺で、これは年間約5,000人の命が奪われています。

 

しかしながら、全ての言葉が悪意をもって発せられたり、偶然の失言であるとは限りません。否定的な言葉が存在する一方で、肯定的な言葉も存在します。それは相手を思いやるあたたかい言葉であったり、感謝の意を示す言葉であったりします。喜びを伝える言葉や、自信を与える言葉も存在します。ここで、言葉の持つ素晴らしい力を教えてくれた、私の経験をお伝えします。私は現地校にバス通学をしています。そのバスで同乗する同級生から、ある日、一通の手紙をもらいました。これがその手紙です。こう書かれています。 『このカードを、あなたに対する私の感謝の気持ちを伝えるために送ります。私に話かけてくれてありがとう。あなたがいなければ、バスの後部座席は暗く、こんなに楽しくはなかったでしょう。あなたは「人を笑わせたり、楽しくさせたい」と言っていましたね。あなたのおかげで、バス通学はいつも楽しく、面白い話もたくさんすることができました。後部座席の時間を私の一日の最高の時間にしてくれて、本当にありがとう。』 この手紙を読んだとき、私はとても心が震えました。大きな感動を覚えたのです。私がバスの中で軽い雑談として話していたジョークが、実は誰かを喜ばせ、笑顔にしていたことを知ったからです。自分の発する言葉によって、誰かの一日をより良いものにしているなんて、素晴らしいことではありませんか?そして、この同級生の言葉も私を数か月にわたって幸せな気持ちにしてくれています。

 

これは私の自慢話でもなければ、単なる個人の経験談でもありません。私のように、またこの同級生のように、誰でも言葉のもつ力で人の一日を、一ヶ月を、一年をそして一生さえも明るいものにすることができるのです。だからこそ、言葉の持つ力を大いに使おうではありませんか。たいして労力も要りません、お金もかかりません。ほんの少しだけ、相手を思いやる気持ちさえあれば、今日から、いいえ、今この瞬間から言葉の持つ力を駆使することができます。「この言葉を使っていいかな?」「楽しい気持ちになるかな?」「ここは今、声をかけるときだ」など、言葉の持つ力を意識して、私は話しかけてみようと思います。その言葉で、誰かのいっときでも明るいものにできるように。まずは「ありがとう」から一緒に言葉の持つ力を試してみませんか?ご清聴ありがとうございました。

 

オレンジ校の最優秀賞を受賞した、高等部1年のカサヴァン諒さん。

オレンジ校の記念集合写真。

オレンジ校の記念集合写真。

 

各部会からのお知らせ

 

ダウンタウン地域部会

「カレッジフットボールツアー」に参加しての感想文

文:飯野美貴さん(Tokio Marine America (TM Claim Service) ・飯野俊一さんのご息女)

アメリカに来て初めてアメリカン・フットボールの試合を見に行きました。場所はロサンゼルス・メモリアル・コロシアムです。ここは1984年のロサンゼルス・オリンピックの会場になった場所です。

 

対戦チームはUSC対UCLAです。両方とも地元ロサンゼルスの大学です。ロサンゼルス・メモリアル・コロシアムはUSCのホームスタジアムなのでえんじ色と黄色のUSCのシャツやユニフォームを着ている人がおおぜいいました。UCLAのユニフォームを着ている人も少しいました。応援に来ている人がたくさんいてびっくりしました。スタジアムの周りはお祭りみたいににぎやかでした。

 

フットボールのルールは難しくてよくわかりませんが、お父さんが少し教えてくれました。クオーターバックのロングパスが成功した時がかっこよかったです。タッチダウンで点が入った時のおうえんの声が大きくてびっくりしました。知らない人でもみんながハイタッチをしておもしろかったです。

 

ハーフタイムには大学のマーチングバンドが演奏をしたり、チアリーダーがダンスをしたりしてとても良い雰囲気でした。

 

試合はUCLAが38対20で勝ちました。

 

アメリカは色々なスポーツが見られて楽しいです。野球とフットボールを見たので今度はバスケットボールを見に行きたいです。お父さんが一番楽しそうでした。

 

参加者全員

会場は伝統あるメモリアル・コロセアム。ハーフタイムも大盛り上がり!

サウスベイ地域部会

「ソムリエとワイン・ペアリングを楽しむ会」に参加しての感想文

文:Kohyo America, Inc. ・Jaime Williamsさん

今回のワイン会は楽しく過ごせただけでなく、ワインについての知識が得られて大変勉強になりました。くじ引きでのテーブル決めで、1テーブルに6名着席であったため、限られた時間の中でも、カジュアルにお話しして、初対面の方々としっかり親交を深めることができました。

 

スパークリングワイン、白ワイン、2種の赤ワインとまんべんなく目の前のワインについてレクチャーを聞けたので、ワインをより味わいながらいただくことができました。お料理もお肉、お魚、パスタ、お野菜、デザートと多岐にわたり、ワインとお料理の組み合わせを自由に楽しめました。 

 

開幕してすぐに戸田さんの資料を基にしたQ&Aが始まりました。酔って楽しくなり過ぎる前に、ワインの勉強ができたのが良かったです。また、資料が書き込み式だったので帰ってからも内容が確認できるのはうれしいですね。

 

 Q&Aの最中いろいろな方が積極的にやりとりされており、活気が感じられました。ワインがお好きな参加者でも「知らなかった!」という内容が多く、ワイン初心者の私でもそういった知識を得て、他の機会にも語れるようになって得をした気分になりました。

 

楽しい金曜の夜をありがとうございました。また開催することがあれば、ぜひ参加したいと思います。

 

参加者全員

ワインを楽しみ、ワインについて学んだ参加者による集合写真。

あさひ学園だより

幼稚部の恒例行事、餅つき大会を開催!

文:あさひ学園事務局

12月初旬、幼稚部では年末および年始の行事として、各校で餅つき大会を行いました。エプロンと三角巾をつけて準備万端です。そして、いよいよ大きな臼の中のもち米を「ぺったんこ!よっこらしょ!」と皆で大きな掛け声け声をかけてお餅つき。園児にとっては重い重い杵にびっくりしていました。保護者のお手伝いなしに、「自分で持つんだ!」と一人で挑戦する園児も。

 

 重い杵を一人で持ってお餅つきに挑戦中。

重い杵を一人で持ってお餅つきに挑戦中。

だんだんとお餅になっていく様子を初めて見た園児たちは、とても楽しんでいました。もち米はまず餅つき器で炊き上げますが、ぐるぐると回っているもち米を見るのも楽しそうでした。最後に、みんなで作った“つきたてのお餅”をきなこやあんこで味付けしていただきました。とてもおいしく、笑顔溢れるひとときとなりました。保護者の皆さまのご協力に感謝します。

 

また、この時期からは卒園に向け、絵皿制作の準備も始まります。お皿には、この1年間でしっかり学んだひらがなで自分の名前を書きます。そして、その周りには家族やお友達といっしょに体験したいろいろな行事の中から思い出の場面などを描いていきます。3月には卒園制作が完了し、世界に一つだけの絵皿をもらって小学部へと羽ばたきます。

 

餅つき大会はあさひ学園幼稚部の12月の恒例行事。

餅つき大会はあさひ学園幼稚部の12月の恒例行事。

あさひ学園幼稚部では、日本の伝統的な行事を通して、健やかな成長のための保育を行っています。年間行事は4月の入園から始まり、5月の鯉のぼり、6月の虫歯予防デー、そして7月の七夕、秋には運動会、12月のお餅つき、年が明けたら正月遊びの凧揚げ、2月節分の豆まき、と続きます。これらの伝統行事を保育の一環として盛り込むことで、日本文化を知ることはもちろん、行事に関する言葉をはじめ言語獲得も目指しています。

 

つきたてのお餅を皆で丸めます。

つきたてのお餅を皆で丸めます。

令和6(2024)年度 新入園・新入学生募集!

文:あさひ学園事務局

あさひ学園では、令和6年度4月からの幼稚部および小学1年生の新入生を募集しています。ホームページ(https://www.asahigakuen.com)から願書を受け付けています。締め切りは、1月3日事務局必着です。入園入学を希望されている方には、11月4日と12月9日の両日に各校で募集説明会を行いました。幼稚部では、実際の保育に参加してお友達と遊んだり、先生から学んだりしていただく体験保育の時間がありました。

 

また、小学1年では、実際の授業の様子を見学していただきました。保護者の方々は、入園入学をお考えになる前に学校を訪れることで、安全面や写真では伝えきれない学校の雰囲気を理解していただきました。4月の入園・入学をお考えの方には、随時、学校見学を受け付けております。

 

サンタモニカ校、幼小募集説明会の様子。

サンタモニカ校、幼小募集説明会の様子。

あさひ学園が大事にしている五つのこと。

一、国際社会に生きる子 / 異文化理解を大切にする子ども

一、人間性豊かな子 / 知性と徳性を備え、調和のとれた子ども

一、自ら考え、学びとる子 / 自主性・創造性を育む子ども

一、思いやりのある子 / 自他を尊重し、理解しあえる子ども

一、健康でがんばり抜く子 / 明朗で規律と責任を重んじる子ども

 

現代の変わりゆく時代の中で、真の国際人を育成していく場を提供していくことが、あさひ学園の目指す学校です。

 

オレンジ校、幼小募集説明会の様子。

オレンジ校、幼小募集説明会の様子。

スターツパシフィック 海外への進出企業を一括サポート オフィスや倉庫、工場などのリースから、社員用住宅まで不動産に関することは、お気軽にご相談ください。

 

 

新入会企業紹介

 

Toki Bookkeeping 浅原綾子 さん

日本とカリフォルニアでご活躍される皆さまと交流させていただける貴重な場所で、弊社にも何か貢献できることがあればと思い、入会希望致しました。 

 

浅原綾子 さん

Toki Bookkeeping 

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住所: 4041 MacArthur Blvd., Suite 400, Newport Beach, CA 92660

TEL:949-229-0714

Web:www.tokibookkeeping.com

責任者:浅原綾子(General Partner)

従業員数:3名

他の営業拠点:なし

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Toki Bookkeepingは2023年4月に設立され、QuickBooksを使った会計サービスを提供している。10年以上の経験を持つスタッフが集まり、上場企業を含む多様な業種の顧客へサービスを提供してきた経験を基に、スタッフ全員が同じ高品質のサービスを提供できる仕組みを採用。また、SaaSアプリと会計ソフトを連携し、顧客の運用コスト削減の提案を得意としている。スタッフはオフショアで日米に限らず優秀な人材を採用することで、高品質を維持しつつも大手の同業他社に比べて低価格なサービスを実現。2024年は顧客とスタッフ数の倍増を目標にしながら、日本とカリフォルニアに貢献できる事業を進めていきたいと考えている。

 

 

 

 

1月、2月のJBAイベントカレンダー

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