2023年 12月号 Issue No.422
南カリフォルニア日系企業協会 会報(月刊)ジェービーエー・ニュース
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去る10月13日(金)、Pasona N A, INC.の板敷さんを講師に迎え、「データドリブンHR」について解説するオンラインセミナーを開催した。
【講師】板敷豊さん
Sr. Product Manager/Sr. Product Architect
日本国際ERPパッケージのコンサルタントとして、人事給与、経理、SCM関連の海外案件を多数リード。渡米後は、管理部門業務のBPRコンサルタント事業立ち上げに携わり、現在はPASONAにて日系企業の人事改革プロジェクトをサポートしながら新サービス開発に従事。
データが人事にもたらすインパクト
講師の板敷さんは、現在の人事に欠かせない「データドリブンHR」という方式に至るまでの流れを、最初に解説した。「1990年代には報酬や福利厚生、人選や採用、人事管理を行う伝統的なHRが主流でしたが、2000年代に入ると『戦略的HR』が登場し、人材の獲得や開発に焦点を当てた人事プランニングやパフォーマンスマネジメント、さらに健康面と安全面の管理までを行うようになりました。そして、三つ目(の方式)が本日のトピックである『データドリブンHR』であり、組織内の人事決定をデータ収集と分析に基づいて行うというものです。しかし、データドリブンHRが戦略的HRにとって変わったというわけではなく、今も戦略的HRは残っており、データドリブンがその判断材料であったり、データをより活用していったりという要素が強くなっているということです」。
次に「データがもたらすインパクト」について、次のような例を挙げて説明した。「身近な課題からデータの重要性を読み取ってみましょう。例えば、『従業員へ出社を促進しているが、実際のビジネスには効果があるのか』や『従業員へ週3日の出社を義務化してみたが、不満の声が強く、退職者まで出てしまった』といった声を聞くことはありませんか。このような場合、人事データの収集や分析が行われていない企業では、他の企業がオフィス勤務を再開している、従業員の生産性が落ちている気がする、従業員間のコミュニケーションが減っているかもしれないという印象だけを基に意思決定を行う傾向があります。一方で、人事データ分析を行い意思決定に活用している企業の場合は、生産性指標、コミュニケーションの頻度、従業員満足度、産業時間・遅刻率、退職者数などの人事データを見ながら、在宅勤務の影響を分析できるのです」。
自社の状況を理解するために
さらに、板敷さんは「日本と比べると海外の各国の企業は、有形資産よりも無形資産の割合が高い傾向があります。無形資産には人材や知的資産などが含まれます。米国でビジネスを行う場合は(無形資産に焦点を置く)という傾向に寄せた方が良いです」と米国では人事データの分析に重きが置かれていると強調した上で、「データ分析がもたらすビジネスインパクト」について次のように述べた。「高度な人事データの分析を行っている米国企業では、従業員1人当たりの売上高増加が58%、純営業利益増加24%、売上成長率増加8%と結果を出しています(出典:9 Talent Analytics USA Canada for Business Leader / Linkedin )」。
そして、在米日系企業が抱える課題として、「マネジメントの多くを駐在員が担う場合、長期的な施策が実行しづらい」「小規模な人員で構成されることが多く、業務量の偏りや属人化が起きやすい」「転職の頻度が日本より高いため、優秀な人材の定着が難しい」という3点を挙げ、「だからこそ、在米日系企業は自社の状況を理解するために、データを活用し、さらに具体的なアクションを起こすことが重要です。特に自社が人事的な側面で魅力的な会社なのかを理解することが大事であると言えます」と訴えた。
「データ活用」している参加者は7%
続いて、データ活用にあたって人事領域での代表的なKPI(Key Performance Indicator)を紹介した後、板敷さんはセミナーの参加者に向けて、人事データの活用状況に関するサーベイを取った。「データ収集をしていて、活用を進めている」という回答は7%、「データ収集はしているが、活用できていない」は25%、「興味はあるがデータ収集をしていない」が54%、そして「特に動きはない」という回答が14%という結果になった。これら四つの段階は、企業のデータ活用の4フェーズとイコールだが、実際、シカゴの在米日系企業でサーベイを取った結果と今回のセミナー参加者へのサーベイでは同じような結果が出たということだ。
一方で、「米国企業を見ていると、70%以上の企業がパフォーマンス向上のために人事データ分析を行っています。企業のデータチームが定期的に、データ収集、レポート作成、データ分析、人財分析モデルの構築、インサイト提供という一連の流れでデータ活用に取り組んでいます」と、在米日系企業と比べ、米国企業のデータ活用が進んでいることを強調した。そして、データ活用を進めるためには、「まずデータを活用してどのような目的を達成したいかを明確化する『目的設定』、目的実現のためにどんなKPIを収集するのかを決定する『KPI設定』、KPIを確認するにあたりデータをどう取得するかを決定する『データ定義』、そしてKPIから何を読み取り、どう人事判断と経営判断に落とし込むかを検討する『意思決定』という四つのステップに分かれます」と解説した。
最後に、板敷さんは「日本企業と米国企業でどちらが良い、悪いという話ではありませんが、人事のトレンドは北米から日本へと流れる傾向があります。ですから、ここ(北米)にいらっしゃる皆さんがフレームワークを作って、それを日本本社に展開させるということを考えてみてはいかがでしょうか」と、人事領域でのデータ活用は在米日系企業が先に着手することを提案して、セミナーを締めくくった。
ダウンタウン地域部会
「懇親ゴルフ大会」を開催しての感想文
文:Riviera Country Club・寺島英也さん
今回、主幹事という大役を担当させていただき、約1カ月前から準備を進めてきましたが、もう少し早く準備すべきだったと後悔しながらも、阿部部会長をはじめ、事務局、他の幹事の方々のご協力の下、何とかイベントが無事に終了しほっとしています。特に、部会での伝達や参加者への通達などを駆使して多くのドネーションが集まったことで、表彰式も大変盛り上がり、楽しいイベントとなりました。プレー後の表彰式を充実させるために宴会場を借りてバフェを用意しましたが、皆さん各々名刺交換をされる方が多く、懇親の場としては絶好の機会となったことは良かったと思います。
アクシデントとしては、途中で1人の幹事の方が退会されましたが、特に問題なく、皆で仕事を分担して何とか乗り切ることができました。また、トーナメント当日の14時半に出張に行かなければならない参加者の方がおり、急遽一組目に変更し、なるべく早くプレーをすることで14時半にプレーが終わり、無事に出張に行かれる、ということもありました。特に大きな問題もなく、皆さまにも大変喜ばれ、運営側としても大満足のイベントでした。
主幹事として参加する懇親ゴルフでしたが、8歳の息子と最近知り合ったゴルフが上手なPasona N A, Inc.の大野さんをお誘いして、ゴルフプレーの方も楽しませていただきました。特に息子は大人のコンペに参加することは初めてでしたが、ゴルフの面白さを感じることができた貴重な1日となりました。優勝はCBRE, Inc.のFujiwaraさまでした。女性の参加者も2名おり、女性の部の優勝はInaba Denko America Inc.のAokusaさま、お2人共に大変すばらしいスコアで、まさに老若男女が参加され幅広い層が集まる大変愉快なトーナメントとなりました。また次回も、多くの方々が参加される楽しい企画を期待しています。
集合写真。ゴルフプレーだけでなく参加者同士の交流も活発に行われたイベントになった。
サウスベイ地域部会&オレンジカウンティ地域部会
「OC vs SB ゴルフ対抗戦」に参加しての感想文
文:Deloitte LLP・高橋未来さん
9月30日(土)にオレンジカウンティ地域部会とサウスベイ地域部会の合同企画「OC vs SB ゴルフ対抗戦」が開催されました。開催コースは「La Mirada Golf Club」で、合計36名(OCとSBそれぞれ18名)が部会や地域を越えた交流を楽しめた、とても良い機会になりました。
午前9時半の開会式の後、他の参加者の皆さまや同じ組み合わせになった方へご挨拶や雑談を楽しんでいるうちに自分のTee Offの番となりました。一般的に個人のスコアで競う方式が多い中、今回は2人1組のスクランブル方式でのコンペで、2人ともボールを打って良い方を採用するという形式は個人的には初めての経験でした。1人目がナイスショットをした後には安心してのびのびと打てたり、1人目が失敗した時に2人目に方にかかるプレッシャーと、それを克服できた時の喜びは、自分がプレーしていても相手方のプレーを見ていても大変にドラマティックでした。
ラウンドが進む中ゲーム魂に火が付き「ここは絶対パー取りましょう!」とチームの方とお互いに鼓舞激励しながらのラウンドは新鮮で大変楽しかったです。一緒に回ってくださった皆さまと同チームの尾関さんに助けていただき優勝することができました。ラウンド後には賞の発表と交流の時間がありとても有意義な1日になりました。ありがとうございました。
サウスベイ地域部会
「ハロウィンピクニック」に参加しての感想文
文・Kintetsu Enterprises Company of America・坂井佳史さん
7月末に日本から着任して以来、私にとっても我が家にとっても初めてとなるJBAのイベント、「ハロウィンピクニック」に参加しました。参加が決まるとすぐに子どもの衣装選びやスーパーマーケットでのカービングコンテスト用パンプキンの品定め、カービング用の彫刻刀の用意など、イベント前から我が家は大盛り上がりでした。
当日は素晴らしい晴天で、絶好のピクニック日和。到着して受付を済ませると早速カービングに取りかかります。カービングのデザインもいろいろと悩みましたが、やはりシンプルなデザインにしようと決めており、私と妻で交代しながらパンプキンに刃を入れていきます。
途中、妻のアイデアで少しアクセントを加えながら、なんとか制限時間までに完成させステージに並べるも、周りの方々のクオリティーの高さに圧倒されてしまいました。
惜しくも我が家はパンプキンの賞は逃しましたが、途中に行われた水風船ゲームでは見事に優勝、豪華な賞品もゲットすることができ、また周りのJBA会員の方々とも家族ぐるみで交流を図れたので、とてもいい機会になりました。来年以降も機会があればぜひとも参加させていただき、次回はパンプキンの賞を狙いにいきたいと思います。JBAならびに協賛企業の方々、ありがとうございました。
オレンジカウンティ地域部会
「Irvine Global Village Festival」のボランティアに参加しての感想文
文・Yamaha Corporation of America・菊谷泰吾 さん
「Irvine Global Village Festival」にボランティアとして参加し、会場スペースの広大さ、ブースの多様性、そして来場者の熱気に圧倒されました。
日本ブースにてけん玉のレクチャーおよび着物の着付けの受付を担当しましたが、けん玉が得意でない私でも大いに楽しめました。ひっきりなしに訪れる来場者の皆さまに遊び方を説明するうちに自分自身も上達していった気がします(笑)。けん玉はどこで買えるのかという質問を何度となく頂いたのも印象的です。着物の着付けについても、あっという間に受付人数の上限に達し、日本文化への関心の高さを肌で感じることができました。
別の予定があったためブースでお手伝いしていたのは3時間ほどでしたが、もっといたいと思わせる、そんなイベントでした。貴重な機会を頂きありがとうございました。
あさひ学園だより
借用校への表敬訪問と補習校校長研究協議会
文:あさひ学園事務局
あさひ学園は、地域の学校区と年間契約をして、現地の公立中学校・高等学校お借りして毎土曜日授業を行っています。過去50年間という長い期間、各学校区そして借用校と良い関係を続けています。
学校区へは借用料をお支払いしていますが、それとは別に各校へ、理事会からの感謝の気持ちを伝えるために、借用校への寄付をするための表敬訪問を毎年行っています。
サンタモニカ校は、校舎改修工事を終えたダニエル・ウェブスター中学校に今年7月に、「戻り移転」しました。この中学校は、あさひ学園がサンタモニカ校を開校した1982年当初からの長い関係にあります。9月から赴任されたBell校長は、以前副校長として勤めておられ、今年度は校長として戻られました。
トーランス校として借用しているサウス高校は、1984年から借用しています。1997年にはノースとサウス・トーランス校を統合し、現在のトーランス校となりました。4つのキャンパスのなかでは、唯一、本校の生徒が在籍する学校を借用しています。
サンゲーブル校であるサウス・エル・モンテ高校は、1996年からインダストリーヒル校として借用していました。そして1998年にパサデナ校とインダストリーヒル校を統合し、現在のサンゲーブル校となりました。借用した当時は、新しくできた学校でぴかぴかの校舎でしたが、27年経った今は、大改修工事が行われています。
オレンジ校のラ・キンタ高校は、コロナ禍後に新しく契約をした学校ですが、ガーデングローブ学校区とは30年を超える借用関係があります。また、今回の表敬訪問の際にお会いしたDr. Avina校長は、以前サウス・エル・モンテ高校(サンゲーブル校)の校長だったことに、お互い驚きました。このように、あさひ学園の長く脈々とつづく学校運営の歴史が人と人とをつなげてくれ、多くの生徒が巣立っていることが分かります。
令和5年度 第36回北米・欧州地区補習授業校派遣教師校長研究協議会が、10月23日から25日の3日間、本校がホストとなり、トーランス市にて行われました。この協議会の目的は、「補習授業校におけるポストコロナを踏まえた教育指導および運営上の諸問題について研究協議を行い、補習授業校の教育水準の維持向上と円滑な学校運営に資すること。また、各補習授業校についての情報交換や今日的課題についての研究協議を行い、補習授業校の改善・充実に資すること。(規約より)」となっています。北米が中心で、各国から総勢26の補習校、遠くはシンガポール、ニュージーランドから校長先生方が集まり、貴重な情報交換や交友関係を深めることができる有意義な機会となりました。
また、この協議会には、文科省および外務省から補習校への指導助言をくださる方が出席され、支援団体である海外子女教育振興財団からは理事長が参加されました。「未来を担う人材は補習校にあり」という言葉をいただき、また令和4年度に議員立法された「振興法」においても補習校には重要な任務を与えられており、日本からも大きな期待をされていることを実感しました。なお、本協議会は、在ロサンゼルス日本国総領事館のご支援もいただいており、曽根総領事ご夫妻も初日に参加されお言葉を頂戴しました。
Knobbe Martens
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住所: 2040 Main St., 14th Fl. Irvine, CA 92614
TEL:949-760-0404
FAX:949-760-9502
Web:www.knobbe.com
責任者:正木敬二 (IPストラティジスト )
従業員数:約700名
他の営業拠点:Los Angeles、New York、San Diego、San Francisco、Seattle、Washington DC
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Knobbe Martens(クノービ・マーテンス)は、1962年にオレンジ・カウンティーで設立された全米最大規模の知的財産専門法律事務所である。本部所在地がアーバインにあり、全米各地のみならず世界中の依頼者・依頼企業からの知的財産(特許・実用新案・意匠・商標・著作権・データプライバシー・ノウハウなど)に関する権利取得及び保護、法的アドバイス・訴訟・ITCアクションなどを扱う300名以上の弁護士・科学者を有する専門家集団。同事務所は設立時から西海岸にある依頼者に密接したサービスを提供し続けており、日系企業との良好な関係も長年続いている。
南カリフォルニアでご活躍のJBA会員の皆さまとのつながりが増えれば、より具体的な知財に関連したニーズや目に見えないリスクなどが把握でき、より有益な知的財産関連のサービスを提供できます。そこで、教育文化支援活動、地域貢献などの活動を通じてJBAの皆さまとの交流と親睦を図りたいと考えました。
正木敬二さん