JBA会長
小林弘典(こばやしひろのり)
新年、明けましておめでとうございます。
新年、明けましておめでとうございます。2022年が皆様にとりましてより良い一年でありますよう、心よりお祈り申し上げます。
長きにわたるコロナ禍の厄災を乗り越えて世界が希望に満ちた年となることを願うとき、聴きたくなるクラシック音楽があります。私にとってはヨハネス・ブラームスの交響曲第一番がそれにあたります。ブラームスは20歳の時にロベルト・シューマンに認められ世に出て以来、ベートーベンの後継者として将来を嘱望され、期待の重圧と闘いながら作曲を続けていました。ブラームスがこの交響曲を書き上げたのは1876年・43歳の時です。最初の着想を得た20代のころのスケッチが残っていますので、20年以上も推敲を重ねて書き上げた交響曲です。
第一楽章の冒頭は、唐突なティンパニの連打の上に弦楽器が奏でる半音階の上昇する旋律と、低音楽器の下降する不協和音が重なり、重々しく運命的な何かを感じさせる波が押し寄せます。あたかも長年の苦悩を表現するかのような序奏からスタートいたします。第四楽章も過酷な運命が姿を現すような長い重苦しい序奏が続きます。弦楽器の旋律が上昇し高揚していくと、ティンパニのロールが響き、ホルンが朗々と雄大な旋律を歌います。この場面はあたかも深い霧に覆われた岩山を登り続け意識も遠のくなか、その絶望の雲間からすっと視界が開けて、穏やかな太陽に暖かく照らされているような印象です。その後、終盤になってようやく歓びに満ちた主題が現れます。ベートーベンの交響曲第九番の四楽章『歓喜の歌』を彷彿とさせる豊かな旋律が、クライマックスに向けて上昇していくと、最後は急速にテンポを速め、圧倒的な高揚の中で終曲します。長く深い霧を抜け、歓喜の山の頂についに至るような印象となります。
コロナ禍の厄災の中、ワークスタイルや生活スタイルが変わる一方、港湾・地上輸送の停滞とサプライチェーンの寸断によってビジネスや生活にも我慢の日々が続いています。その中でも変わらず、あるいは改めて有難さを感じておりますのは、公共の福祉と折り合いをつけながら、人に会いたい、自由に往来したいという気持ちだと実感しております。JBAは本年も人と会い、人と繋がり高めあう機会のお役に立ちたいと願っております。本年が皆様にとって歓びに満ちた歓喜の年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
在ロサンゼルス日本国総領事
武藤顕(むとう あきら)
新年明けましておめでとうございます。
昨年も人類と新型コロナウイルス感染症との闘いは続き、多くの方々が以前どおりの生活に戻ることができない中にあって、様々な創意工夫により、地域社会はじめそれぞれの持ち場において貢献をされておられる皆々様の多大なご尽力に深い敬意を表します。
日本では、岸田内閣が新たに発足し、新型コロナウイルス感染症対応に留意しながらも、「成長と分配の好循環」を実現するため、「新しい資本主義」を始動しました。ポストコロナの未来を切り拓くことで、国民の皆様に安心と希望をお届けし、世界においては、先進国の中で遜色のない成長をすることで本格的なジャンプスタートを切っていくことを目指しています。
令和3年は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開かれた年でした。世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい続けていた最中、日本は、世界に対して約束した大会の開催を実現させるため、感染への恐怖、様々な感染防止対策やそのための制限に苦しみながらもあらゆる努力をしました。そして、皆様がご覧になったとおり、世界中のアスリートに活躍の場を提供し、コロナ禍で苦しむ世界中の人々に対して、夢と希望、感動と勇気、そして一体感を与え、改めスポーツの力の素晴らしさを示しました。また、障害のある人もない人も共に生きる共生社会の実現に向け、心のバリアフリーの精神を世界に発信できたと思います。私は、世界中に感動を届けてくれたアスリートの皆さんに心から感謝するとともに、日本がコロナ禍でできる最大限の貢献を世界に対して示せたと胸を張って言えると思います。あの状況の中でのオリンピック・パラリンピックの開催は日本以外にはできなかったとの世界の有識者の指摘に賛同します。
日本は2020年に2050年カーボンニュートラルの実現を宣言し、気候変動対策を成長の機会ととらえる時代へと移行しました。昨年4月には日米首脳会談において日米気候パートナーシップが立ち上がり、9月には日米豪印の枠組みにおいて「日米豪印海運タスクフォース」及び「クリーン水素パートナーシップ」の立ち上げが発表されるなど脱炭素、水素に関する環境も新たな局面となりました。当地においては、ロサンゼルス港での水素バリューチェーン構築の実証が進められ、水素社会実現に向けてランカスター市と浪江町とのスマート姉妹都市のMOUが昨年7月に結ばれるなど日系企業や地方都市レベルで大きな転換期を迎えました。本年は、このような水素社会実現に向けた取り組みを全米、世界へ発信していく飛躍の年とすべく是非当地の皆様と力を合わせ成し遂げたいと考えています。
この先もコロナが完全に払拭されることは困難でしょう。今年も紆余曲折が予想される中においても、コロナの感染をコントロールしながら、経済を再生させることが最大の課題になるものと思います。私は、在ロサンゼルスの日本総領事として、今年は是非、日米間の理解を促進するため、また、両国間の交流と経済関係の一層の発展を推進するため、国境を超える人やモノの行き来が活性化することを願って止みません。そのためには入国規制が撤廃される必要があります。一日も早く交流が正常化されるよう努力していきます。
当地ロサンゼルスにおきましては、日本コミュニティの存在を高めていくために、多様な他のコミュニティとの連携を高めていくことが重要です。昨年は州立ドミンゲス校における企業講座の設置やLAにおけるダイバーシティに係る社会問題に取り組むJapan Job Training ProgramをJBAの皆様とともに始動させることができました。また、昨年コロナ禍へのヘイトクライムの増加を受け、中国系や韓国系との連帯を図るため昨年7月に立ち上がったAsian Business Allianceを通じてアジア系の地域への経済貢献に対する認識を高めていきます。日系人とは特に昨年8月に立ち上げた日系4世イニシアティブを通じ、4世と日本との交流強化に努めていきます。これらのコミュニティとの連携・連帯を通して日本コミュニティの存在感が高まり、ひいては日本コミュニティの生活環境が高まることに繋がると信じます。
当館といたしましても、ここ南カリフォルニアにおける日系企業のプレゼンスの向上に努めるとともに、ビジネス展開へのご支援に、本年も全力を挙げて取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最後に、会員企業各位の一層のご発展と、この新しい年が皆様にとりまして、実り多い素晴らしい年となることを心より祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。