1969年大阪府生まれ。2歳でNYへ。ロンドン生活を経て、82年にLAに転居。University of California, Santa Barbara卒業後、Ernst & Young LLPに入社し、日系企業部門で監査業務に従事。2004年にEOS Accountants LLP入社。08年より同社パートナー。
商社勤めだった父の転勤で、2歳の時にニューヨークへ。小学校4年生でロンドンに転居し、中学でロサンゼルスに引っ越してきました。商社で働き、後に独立した父の姿を見ていましたので、ビジネスに興味があったのと、女性が仕事をしていくためには資格が必要と思い、大学では会計を中心にビジネスエコノミクスを専攻しました。
91年にUniversity of California, Santa Barbaraを卒業した後、ロサンゼルスの会計事務所Ernst & Young LLPの日系企業部に就職し、監査業務に12年間従事しました。中学、高校と現地校に通っていましたので、それが日本の文化との久しぶりの再会でした。
ご存知の通り、日本とアメリカの企業ではビジネスの文化が異なります。アメリカの顧客であれば、単刀直入に「駄目です」と伝えるところも、日本の顧客に対しては配慮が必要です。また、明瞭に説明しないと、日本の会計基準そのままで大丈夫だと誤解される方もいます。しかし、監査業務は会計基準に基づいての意見書ですので、アメリカの基準を理解していただくことが必要です。
とは言え、ビジネスも人と人の関係ですから、さほど重要ではないところを厳しく伝えても関係を悪くするだけですよね。物事の重要性を見極めて優先順位を付け、肝心なところを間違いなく伝えていくことが大切だと考えています。
そうした優先順位の見極めの重要性は、2004年にEOS Accountants LLPに移り、監査部門を立ち上げて以降、より実感するようになりました。08年にパートナーという立場になり、監査業務だけではなく監査のクオリティーコントロールや対外関係も含めて見る立場になったからです。日系企業に関する会計監査業務は毎年1月から4月が繁忙期で、クオリティコントロールの作業として、何百社もの財務諸表の最終審査を行うため、その時期は特にマルチタスクが必須です。パニックにならずに繁忙期をこなしていくにも、やはり優先順位が大事ですね。
子育ても同じです。実は長女を出産したのが26歳。その時は社会人になって仕事を始めて4年目の忙しい時期でした。当時は、いったん帰宅して夕食を作って、子どもを寝かせてからまた仕事に戻ったりと、優先順位を付けてリストをこなしていました。また、仕事と子育てを両立できたのは、同じく会計士の夫の理解と協力があったからにほかなりません。
2年前からは、ようやく子育てが一段落し、出産前までは週1回のペースでプレーしていた趣味のゴルフを再開し、日々練習を重ねています。チャレンジングで、良い気分転換です。これまでは子育てと仕事に追われる生活でしたが、最近はジムや旅行などプライベートな時間を楽しむ余裕も出てきました。
会計の世界は、ここ10年ほどアメリカの会計基準がグローバル基準に近付くなど、さまざまなことが変化しつつあります。今後も常に勉強を怠らず、在米日系企業の監査に携わる者として、日本とアメリカの文化の違いを踏まえた上で、質の良い監査、会計サービスを提供し続けていきたいと考えています。
=Company Info=
EOS Accountants LLP◎1996年設立の会計事務所。在米あるいは米国進出を計画する日系企業を中心に、会計監査、税務および各種コンサルティングサービスを提供している。現在全米8カ所、および日本に事務所を展開。