1961年鹿児島県生まれ。慶應義塾大学卒業後、ティアック株式会社に入社し、人事部に配属。その後、財務課、貿易管理課、経理課を経て、1998年、TEAC America Inc. にControllerとして赴任。2006年にPresidentに就任。
1984年にティアック株式会社に入社し、人事採用を担当していました。当時の私は、理系の大学の研究室をまわって有望な人材をリクルーティングする業務が主でしたが、経理や労務といった専門知識が身に付かなかったので、将来への不安が常にありましたね。そんな折、全く未経験の分野である財務課へ異動になりました。現場ですぐに戦力になれるよう電車通勤の間のわずかな時間も利用して、必死になって簿記を勉強しました。
異動から1年ほどして業務内容が分かってきた頃、海外の子会社との連結決算を任され、英語で財務を見ることになりました。ファックスに書かれている英語は、当初到底理解できないものでしたが、2年ほどで何とか分かるようになると、東南アジアにおける新工場建設のための大規模な転換社債発行プロジェクトの一員となりました。ここで金融の仕組みを学び、次の異動先の貿易管理課では外国為替を担当。入社から10年間、任されるままにただ一生懸命に仕事をしてきました。そして会計・金融・英語の知識がある程度身に付いた頃、将来の勤務部署の希望を会社に伝える「自己申告書」へ海外駐在希望と記入しました。
1998年に TEAC America Inc. に駐在が決まり、仕事内容は大きく変わりました。それまでは「結果」を数字化する仕事をメインにしていましたが、アメリカ赴任後は、Controllerとして、将来のプロジェクトの見極めやバジェッティングを構築することになりました。またPresidentになってからは、必要があれば時に180度違う戦略を取り入れるなど、環境に柔軟に対応しながら経営を進めてきました。
アメリカに来たことで、日米双方の市場要求の違いを理解できたのは大きな収穫でした。同じ「箱」でも、両国では求める「モノ」が違います。例えば、オーディオ機器に関して言うと、趣味性の高いユーザーの多い日本では、単品購入が大きな割合を占めますが、アメリカでは、一体型のソリューションが好まれます。また、ある分野における画像記録装置において、日本では静止画で十分なところ、アメリカでは動画がメインに求められます。マーケティングにおいては、商品スペックだけでなく、消費者が何を実現できるのかというストーリーを上手に訴求していかなければなりません。場所が変われば訴求方法も大きく変わります。
マーケティングの強化は、常にチャレンジです。大切なのは、メーカー自らが直接エンドユーザーのもとに足を運んで市場調査を行うこと。そこでお客さまの要望を把握した上で、モノを作り、エンドユーザーにはそのストーリーを届ける。生産から流通までの一貫したメッセージが、商品力の向上へ、そして弊社のさらなる発展へとつながることを期待しています。
個人的な目標としては、フルマラソンの4時間切りですね。マラソンを始めたのは5年前のロサンゼルスマラソン。もともと写真が趣味で、ドジャースタジアムからサンタモニカまで、写真を撮りながら走ったら楽しいだろうなと思ったことがきっかけでした。そこからマラソン熱は高まり、今ではロングビーチマラソンと共に、年2回フルマラソンを走っています。これからも記録更新に向けて、アクティブにチャレンジしていこうと思います。
=Company Info=
TEAC America Inc. ◎1967年、ティアック株式会社のアメリカの現地法人としてTEAC America Inc. が設立された。本社創業以来、60年以上培ってきた記録・再生技術を基盤に、オーディオ・レコーディング機器や産業用記録再生装置を開発するエレクトロニクスメーカー。