ローカル性の強い不動産事業を
アウェイの地 米国でさらなる挑戦

「不景気に強い不動産投資」
リーマンショックの教訓

Diamond Realty Investments, Inc.（以下DRI）はアメリカのデベロッパー（不動産開発会社）とジョイントベンチャーを組み、不動産の開発案件に投資をし、建物完成後にリースアップした物件を年金等の機関投資家や資産運用会社に販売／提供する仕事を生業としています。不動産投資は景気の波を受けやすいのですが、中でもリーマンショックの時は大変でした。当時、私は親会社である三菱商事の海外不動産ユニットにいて東京からDRIを管理していました。多くの不動産が不況の影響を受けましたが、その時に学生アパートは不況に強いことが分かったのです。不況になると卒業せずに学生期間が長くなる人が増えるのと、勤めを辞めて学生に戻る人も増え、学生アパートの中には賃料が上がったものもあるほど。当社ではリーマンショック後「不景気に強い不動産投資」を意識して案件を選定しています。株や債券のように市場変動によって価値が大幅に上下するのではなくて、底堅い賃料をベースにした安定資産として運用できるのは不動産投資の魅力の一つですからね。

米国ローカルパートナーとの
共同事業で、さらなる挑戦を継続

三菱商事への入社は90年。大学で建築を勉強していた時はとにかく格好良いデザインのものを造りたいと思っていましたが、多額の投資を行なう開発者の視点に立つと、イニシャルコストや維持費はどうか、テナントが入るのかと経済合理性の重要性を学びました。一方で経済合理性だけを優先すると面白みのないデザインと機能性に乏しい建物にもなる。経済合理性とデザイン、そして使う人（テナント）の快適性などを追求する中で、最良の合意点を見つけることが良い開発の条件なのだと痛感しました。

それに不動産はその国、その土地土地でローカライズすることが最も重要だと考えています。不動産を使うのは現地の人ですから。現地のローカルパートナー会社の意見を尊重しながら、ただ異国の地でも事業を行なう当事者として譲れないこととの合意点を見つけ二人三脚で開発していく。そのやり方は世界中どこでも変わりませんね。

渡米した2013年はリーマンショック後の不況から回復し、DRIの事業拡大にかかる時期でした。その頃のDRIは賃貸アパートも物流倉庫も本格的には再開しておらず、まず開発のパートナーとなる現地デベロッパー探しから始まりました。日本では大抵の人が知っている三菱商事でも米国では無名です。ましてやその子会社のDRIなど誰も知りません。まず当社の説明から始まり、面談したデベロッパーの数は100社を超えました。ある意味でゼロからのスタートでしたが、やはり米国での仕事は面白いですよ。日本では大企業の一員としての役割でしたが、ここでは小さいながらも会社のトップとしての大きな責任を負って現場でプレーしている実感があります。一つ一つのプロジェクトに対して、事業の当事者ならではのやりがいと共に、プロジェクトがスタートした暁にはすごく達成感を感じますね。

また米国の不動産事業が面白いと思うのは、今後もどんどん人口が増加する国であることと開発する土地が豊富にあることです。日本は真逆ですから（笑）。つまり賃貸アパートや倉庫、学生アパートの需要もますます増えて、開発する機会も山ほどあります。この成長していく米国の不動産業界で、新たなフィールドへの拡大も含め、さらなるチャレンジを続けていくつもりです。

1998年から業界の中でもいち早く投資開発事業を始めた学生アパートの一例。
不景気に強い投資物件の一つである

=Company Info=

Diamond Realty Investments, Inc.◎三菱商事の100％子会社として、20年以上にわたり全米各地で不動産投資／開発事業に従事。これまでに賃貸アパート、学生アパート、物流倉庫など合計130件以上の不動産開発案件に投資している。

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