1984年香川県出身。95年に家族でニューヨークに移住。イリノイ工科大学にて建築と構造設計を専攻。卒業後、建築デザイン会社、建築設計会社勤務を経て、2013年にゼネコン・エンジニアリング会社のGray Constructionに入社し、営業、設計監理を担当。
アメリカに来たのは10歳の時。歯科技工士の父がニューヨークで仕事をすることになり、家族4人で移住しました。英語が全く話せない状態で現地校に行き始めたのですが、英語よりも困ったのは、日本人の同級生に私の讃岐弁が分かってもらえなかったこと(笑)。ニューヨークは異文化に対する理解度は高く、人種や風習等で特筆するような苦労はなかったですし、あまり悩んだこともなかったですね。人種や見た目は変えられるものでもないですし、それに僕は日本人でいたいとも思うのです。ガツガツ前に出ていかない奥ゆかしい日本の美を崩さないでいようと思えば、無意識なところでも多少の引け目を感じる部分が残るのは当然ですよね。でも、何か行動する時には、人種や民族性をできない理由にしないで、そこは気合いや明るさで補填して、アメリカ人と対等に物事ができるようにという心構えでいます。
大学で建築と構造設計を学んだ後、建築デザイン会社、建築設計会社を経て、2013年にGray Constructionに入社。Grayでは米系・日系双方のマーケットを担当しており、お客様は日系企業も多いのですが、アメリカと日本ではさまざまな違いがあります。ロサンゼルスオフィスの社員は全てアメリカ人ですから、仕事の仕方も文化もビジネスマナーも違う当社のスタッフとお客様との橋渡しをするのが、私の仕事の一つのチャレンジングな部分ですね。
建築の考え方も日米では異なっていて、アメリカでは建築学科は文系です。アメリカの建築デザインスクールでは、構造設備をないがしろにデザインを優先させます。でも周りに良い設計者がいれば、一見不可能に感じるデザインにおける設計の落としどころが見つかります。一方で日本の建築は理系で、建築士はデザインも構造も理解しています。また日本の建築会社の人は守備範囲が広く、各人の能力が高いので、互いにマイクロマネージメントして改善していくんですよね。アメリカでは社員各人はそこまで守備範囲は広くありませんが、優秀なマネージャーがしっかりとマクロマネジメントしていきます。面白い違いですよね。
Grayで働き始めたのはそうした日米の違いが見たかったからでもありますし、大学を出た時に、建築の全体を見たいと思ったからでもあります。デザイン、設計、施工と建築の全体を見て理解した上で、建築の何の仕事をするか決めようと。不器用な性格で理解できない部分があるまま行動するのは得意じゃないんです。建築デザイン、建築設計を経て、Grayに入って施工に触れたところ、想像以上に広くて面白いものでした!よく施工を知らずにデザイン、設計をしていたと思います。施工は関わる人数もすべきことも圧倒的に多いですし、プロジェクトごとにチャレンジも全然違って、毎日景色も仕事も変わる。いろいろ考えながら仕事ができるのが楽しいですね。
物を建てたいというお客様には、ビジネスを大きくしたいとか、新たに工場を作りたいとか何か目的があります。新しいことに取り組むその活気の中の一員として働くのはすごく刺激になります。えらそうに言っていますがうまくいかないことの方が多いのが現状で、10年くらいの経験ではまだまだ若輩者…。これからも日々学び、より良い仕事をして、目的に向かって進まれる方々をしっかりサポートしていきたいです。
=Company Info=
Gray Construction◎ケンタッキーに本社を置くゼネコン・エンジニアリング会社。産業施設の建設工事を得意とし、製造工場、化学工場、食品工場、流通倉庫などの建設工事に加え、商業施設や飲食施設工事の実績も豊富。