2021/2/4
去る12月11日、グレンデール学校区日英双方二カ国語教育統括のテイラー亜矢さんを講師に迎えて、パンデミック下における遠隔学習の受講法のコツについての教育ウェビナーが開催された。
[講 師] テイラー亜矢さん
グレンデール学校区日英双方二カ国語教育統括。大阪府出身。日本で大学卒業後にサンフランシスコ州立大学日本語(教授法)修士号取得。大学・短大・私立中学・プライベートスクールで日本語教員を務めた後に、公立の小学校で日本語教員(カリフォルニア州日本語・担任の免許を取得)として勤務。高校生と大学生の二児の母。
まず冒頭では河井教育文化部会長が挨拶し、「慣れない海外での学校教育のディスタンスラーニングに大変な思いをされていると思いますので、一助になればと、今回の教育ウェビナーを企画させていただきました」と参加者にメッセージを送った。
続いて、ロサンゼルス近郊のグレンデール学校区で教えるテイラー亜矢さんが講師として登場した。テイラーさんは、まず、教育の成功には三者(教員・子ども・保護者)の協力が大きな鍵であると述べた。「教育にはこれら三者によるチームワークが必須です。また、子どもには子どもの人生があるということを常に念頭に置いてください。他人(自分の子でも別の人間は他人)はコントロールできないので、自分、つまり保護者が変わらなければ状況は変わらないということを理解してください。子どもは自ら考えて行動できるようになることが大事です。さらに保護者がなんでも自分で解決しようとするのではなく、専門家に頼ることも必要です」。
以上のような心構えを説明した上で、遠隔学習のために教員たちがどのような準備をしたかを紹介した。「今まで使用していた教材をデジタル化するために時間を使いました。プラットフォームに関する勉強をしたり、教員によっては動画を撮影して『Google Classroom』にアップする人もいます」。
このように、教員が万全の準備をして遠隔学習に臨んでいても、悩みは尽きない。「個々の児童のレベルを把握するのに、(遠隔学習だと)より時間がかかってしまいます。低学年の場合は特に、どうしても保護者の助けが必要になります。授業の進行も子どもによって差が生じます。横からお母様の手が出て子どもにハサミを渡したりもされています。ただ、保護者の助けは必要ですが、何から何まで手伝ってしまうと、自分で考えて行動できない子になってしまいます。前の日に授業の準備を一緒にしていただくのが良いと思います。また、自宅で勉強できないような環境にある場合、学校区によっては、学校に来てアドバイザーの指導の下で勉強できるというケースもあり、このようなプログラムを活用すると良いと思います」。
また、遠隔学習で実践してほしいことについて次のようなアイデアが提供された。「前もってスケジュールを把握しておいて、他の子どもたちが終わる前に自分の課題が終わったら、待っている間にできることをどんどんやっていくようにしましょう。例えば、そばに本を置いておき、待っている間に読んだりしてもいいと思います。さらに、遠隔学習でも良い姿勢を保つことが重要です。立って授業を受けると集中力が上がります。バランスボールに座りながらでもいいと思います。形式にこだわることはありません」。
最後に、「低学年の場合、遠隔授業に対する保護者の負担が大きい」や「フルタイムの仕事を抱えて、子どもの大量の宿題をどのように手伝ったらいいか分からない」という参加者からの悩みに答えるコーナーも設けられた。
それらの切実な質問に対してテイラーさんは「メリハリを付けましょう。外で走り回ったり、家族で散歩に行ったりする気分転換の時間を設けてください。また、大量の宿題に関しては、教師に相談して、どの宿題から優先的にやればいいかなど教えてもらってください。全てを完璧にやろうとしなくても大丈夫です。また、子どもにはご褒美などを駆使して、やる気が出るように励ましてあげてください」と、保護者も子どもも息抜きをしながら、また自分たちで何でもやろうとせずに周囲の助けを借りながら、無理なく遠隔授業を続けてほしいとアドバイスした。