2025/1/3
去る11月3日(日)、教育文化部会主催によるセミナー「インフレ時代のヘルシーな食事:食品表示の読み解き方と、賢いお買い物術」をオンラインで開催した。
[講師プロフィール]
ジュグナ美和さん
Wellness Creations代表(ホリスティック栄養学講師・栄養コンサルタント)。
実践的な食の講座をプロデュース。ウェルネス関連企業での社員向け講座、フィットネスコーチ向けの「サプリメントの安全で効果的な摂り方」など、幅広いトピックの講座を提供。
最初に、講師のジュグナさんは今回のセミナーの目的について、「誰しもヘルシーな食生活を送りたいと思っているはずですが、インフレ時代にはそれが難しいというイメージがあります。それはヘルシーな食材は値段が高めになっていることが多いからです。しかし、必ずしもその商品のクオリティーと値段は一致するわけでもありません。自分の目で食材を見極めることが重要ですが、その際には食品のブランディングと価格設定についての知識を持っておくこと、また加工食品のラベルを正しく読み取る力を持つことが鍵になります。そのことを今日は学んでいただきたいと思います」と説明した。
そして、具体的に「365 by Whole Foods Market」と「Califia Farms」「Malk Organics」と3種類のアーモンドミルクの写真を見せながら、「このうち『365 by Whole Foods Market』と『Califia Farms』は、同じ工場で製造されており、少しだけ中身が違いますが、ほぼ同じものです。それにもかかわらず、値段は『Califia Farms』の方が高いです。中身がほとんど変わらないのに値段が違うというのは、ブランドとマーケティングの影響だということを知っていただきたいんですね。もう一つの『Malk Organics』は、添加物が入っておらず、アーモンドの量が多い商品です。ですから、(値段やブランドに左右されずに)ご自身でラベルを読み取り、品質を見極める力が必要になってきます」と語った。
同様にエクストラバージンオリーブオイルやピスタチオなどの価格差がある製品の例を出して、「ブランド製品にはマーケティングやブランディングに多くの資金が投入されているため価格が高くなる一方で、Trader Joe’sなどは直接販売や簡素なパッケージによりコストを削減し、低価格を実現します」と、「高い=良い」は必ずしもイコールではないと強調した。
続いて、ヘルシーな食品を摂取するために不可欠な原材料表示の見方を次のように解説した。「注目するポイントとしては、信頼できる認証マーク、たとえばオーガニック認証やグルテンフリー認証などがパッケージに表示されているかどうかです。一方で無視してもいいのは“Sweetened by Nature”のような曖昧な言葉。Natureという言葉を使用するのに厳しい規制はないので、そう書いてあってもあてにならないのです。また、Ingredients、つまり原材料表示は分量が多い順番に(原材料が)表示されていますが、原材料名のリスト数が可能な限り少ないのが理想的です。また、同じ油でもオリーブオイル、アボカドオイル、ココナッツオイル、ひまわり油などは良い油です」。
さらに簡単に食品のクオリティーをチェックできる「Yuka」というアプリを、有用性が高いとして紹介した。「これは、食品の成分の安全性を確認するための便利なツールです。健康スコアの確認、添加物の詳細が確認できるほか、健康スコアが低い場合のより良い代替品の提案もしてくれます。ただし、便利だからといって過信は禁物です。個人によって体質は異なるので、自分でも一度食べてみてチェックすることも必要かと思います」。
最後に、ジュグナさんは、ヘルシーな食生活を送るベーシックな五つのポイントについて触れた。「一つ目は、自分の現在地と目標とする健康状態を明確にすることです。つまりは、現在の健康状態や食事内容や食事量、摂取カロリーを把握し、自分に必要な栄養素を理解することです。二つ目は、よく噛むこと。しっかり噛むことは消化を助け、満腹感を得やすくするため、健康な食生活の基本と言えます。三つ目は、食物繊維や発酵食品を摂取し、腸内環境を健康に保つこと。四つ目は栄養のバランスを保つために、多様な食材をローテーションして摂取すること。そして最後の五つ目は、“SOUL Foods”を取り入れること。これは“Seasonal(季節のもの)” “Organic(オーガニック)” “Unprocessed(加工されていない)” “ Local(地元)”の略です。あまり難しく考えずに、結局こういうものをベースにしていただいたらいいと思います。本当の健康習慣とは必ずしも高価なものを購入する必要はないのだということを、今日はシェアさせていただきました」。
ジュグナさんのセミナーに続き、日下部教育文化部会長らが参加したパネルディスカッションが開かれ、各自がグロッサリーストアの使い分けをはじめとした食材の購入方法や日頃の食生活について情報をシェアした後、ウェビナーは終了した。