2020/6/23
去る5月26日、比嘉恵理子弁護士を講師に迎え、コロナ禍におけるビザの最新状況に関するオンライン・ビジネスセミナーを開催。220名が参加した。
[講 師]
比嘉恵理子さん
カリフォルニア州弁護士。ミシガン大学ロースクール修了。移民の法的権利を擁護する弁護士を目指し、冨田法律事務所にアソシエイト弁護士として入所。米国移民法を専門とし、主に就労ビザと雇用ベースの永住権を担当。
比嘉弁護士は、最初に、米国に入国した者には14日間の自主隔離が義務付けられていること、全世界のアメリカ大使館でビザ面接が停止中であること、緊急面接を要求する場合は一定の条件が課されていることなど、COVID-19によって制限されている状況を説明した。
その後、COVID-19のパンデミック下で発生している解雇や雇用条件変更による各種ビザへの影響について解説。「事業の縮小により解雇する場合は、移民法と雇用法の専門家に相談することをお勧めします。また、E1/E2、 H1-B、 L1などのビザは指定の雇用主の下で就労することがステータスを維持する要件であるため、解雇となった場合は、ステータスを失うことになります。ただし、グレースピリオドの期間内(最長60日、I-94の期限内に限る)にステータスの変更や雇用主変更などの手続きをすることが可能です。なお、勤務形態の変更に関しては、H-1Bの条件が最も厳しく、勤務地変更や勤務時間短縮に関する手続きが必要で、解雇の場合は、従業員への書面通知、移民局への通知、帰国するための航空券の支払いが雇用主に義務付けられます」。
移民法における今後の見通しについて、比嘉弁護士は「失業率悪化を受け、審査の厳格化が予想される中、米国への国益を意識し、各ビザの趣旨を理解した上で条件に沿った申請書を作成することがますます求められることになります」と話した。「ビザ申請者の働きによって米国経済への貢献が期待できる点を分かりやすくアピールした書類を作成し、そのことを申請者自身が面接できちんと説明できるように準備しておくことをお勧めします。また、管理職としてビザの申請をする場合は、申請者のリーダーシップがもたらす効果を詳細にアピールしてください。また、会社(スポンサー企業)の資格に関しても、雇用創出、米国経済への貢献を強調することが重要です。地方自治体から推薦状をもらうことも効果的ですね」。
結論として、「プランニングの段階で移民法弁護士などの専門家に相談して、考えられるリスクを回避することが重要である」という点を述べ、比嘉弁護士は今回のセミナーを締めくくった。