JBA 南カリフォルニア日系企業協会 - Japan Business Association of Southern California

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2024/4/1

商工部会 「The JBA 63rd Annual Reception(Sustainable Future with Hydrogen Technology)」を開催

去る2/9(金)、在ロサンゼルス日本国総領事公邸にて「The JBA 63rd Annual Reception」を開催した。カリフォルニア州の公選議員および政府機関、政治経済団体の関係者に多数参列いただいた今回は、ネットワーキングに加えて、「Sustainable Future with Hydrogen Technology(水素技術による持続可能な未来)」と題し、水素エネルギー関連の日系企業7社がプレゼンテーションを行うという、官民一体の取り組みとなった。

庭園にて撮影した集合写真。
庭園にて撮影した集合写真。

 

レセプションでは今話題の焼酎をPRするブースも

毎年この時期、JBAの設立を祝う意味で「Anniversary Reception」と称して開催されてきた当イベントだが、今回より「Annual Reception」と名称を変えての開催となった「The JBA 63rd Annual Reception」。気持ちのいい晴天となった当日、開場の15時半を過ぎると参加者が続々と来場し、レセプション会場である公邸内の庭園のあちこちで談話の輪が広がり始めた。

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庭園で行われたレセプションでは、参加者同士が思い思いに交流を楽しんだ。

 

会場では軽食や飲み物が振る舞われたほか、このほど、アルコール飲料規制に関する法律改正案「AB416: Sale of Shochu」によってカリフォルニア州が日本の焼酎を正式に認め、これまではワイン販売免許を持つ州内のレストランが日本の焼酎を売る際、「Soju(ソジュ)」と表示されていないと販売できなかったのが、「Shochu」という表示で販売できるようになったことを祝して、Mutual Trading(共同貿易)とiichikoによる焼酎ブースも設けられた。当日は「AB416: Sale of Shochu」の筆頭提出者であるAl Muratsuchi下院議員が参列されていたこともあり、同氏に対する敬意の意味も込められた。

焼酎のブースに立ち寄り、説明を熱心に聞くMuratsuchi下院議員。
焼酎のブースに立ち寄り、説明を熱心に聞くMuratsuchi下院議員。

 

総領事、JBA代表、来賓による挨拶

4時半になると、ジャパン・ハウス ロサンゼルス館長であり、商工部会のメンバーでもある海部優子さんの司会により、会全体の流れに関する説明が行われた。それから参加者全員の集合写真を撮影すると、レセプションは終了。その後、公邸内の大サロンに会場を移し、関係者、来賓からの挨拶を行った。最初に登壇したのは、曽根健孝総領事。来賓、関係者へのイベント参加への謝辞を述べた後、「まず、JBAの日本企業のハブとしての持続的で献身的なサービス、日本と南カリフォルニアの橋渡しとしての役割に感謝したいと思います。日本企業の南カリフォルニアへの投資は継続的に最大規模であり、地元経済を力強く支えています。また、カリフォルニアの水素インフラへの日本企業の貢献と潜在的な貢献は計り知れません。今日は、皆さんが日本の水素技術革新についてもっと学ぶ、素晴らしい機会となることを願っています」と話したほか、「AB416: Sale of Shochu」を可決したカリフォルニア州、そしてそれに尽力したAl Muratsuchi下院議員に感謝の意も表した。

司会を務めた海部ジャパン・ハウス ロサンゼルス館長。
司会を務めた海部ジャパン・ハウス ロサンゼルス館長。
曽根総領事に対し、「今回のレセプション、そして『水素技術による持続可能な未来』の共同ホストになってくださり、本当にありがとうございます」と感謝の言葉を投げかけた。

 

曽根総領事
「カリフォルニアにおける水素インフラの普及を、JBAや日系アメリカ人関連団体、在サンフランシスコ日本総領事館などと協力しながら推進していきたい」と力強く語った、曽根総領事。

続いてJBAの代表として、当日は参加できなかった山本JBA会長に代わり、林隆人JBAセクレタリーが登壇。「ご存知のようにJBAは非営利団体で、その使命は南カリフォルニアのビジネス環境を改善し、発展させることです。私たちにとって、米国と日本の関係、特にカリフォルニアと日本の関係強化は、活動の根幹です。長年にわたるご支援に感謝します。今日達成したい目的は、第一にカリフォルニア州の政府、ビジネスコミュニティーとのより強い関係を築くこと、第二に、それらコミュニティーと日本企業間における意義ある関係の構築をお手伝いをすることです。今日のテーマは水素エネルギーであり、この分野に力を入れている企業を招待しています。ぜひ、水素エネルギーが有意義なものであることを皆さんに感じていただければ幸いです」と話した。

 

林JBAセクレタリー
「水素エネルギーの技術によって何が達成できるのか。本日のイベントをきっかけに、皆さんが学び、議論いただくことを願っています」と話した、林JBAセクレタリー。

 

その後、海部さんが来賓を紹介。Steven Bradfordカリフォルニア州上院議員、Al Muratsuchiカリフォルニア州下院議員、オレンジ郡監督委員会議長のDonald P. Wagnerさん、ロサンゼルス市議会議長のPaul Krekorianさん、アルハンブラ市議会議員のJeffrey Maloneyさん、Robert Hertzberg元カリフォルニア州上院議員、ロサンゼルス商工会議所CEOのMaria Salinasさん、LAEDC / WTCLAのCEO/プレジデントStephen Cheungさん、オレンジ・カウンティー・ビジネス・カウンシルのCEO/プレジデントJeffrey Ballさんらの名前を挙げ、参加への感謝の言葉を述べた。

続いて、Al Muratsuchiカリフォルニア州下院議員が登壇。「昨春、カリフォルニア州から約100人の貿易代表団が日本を訪れ、幸運なことに私も参加しました。日本がアメリカの最大の同盟国の一つであること、そして特にカリフォルニア州では長年、日本が州内で最大の海外直接投資国であることを再認識することができました。カリフォルニアと日本の間には、気候変動と戦うという共通認識があります。私はちょうど今日、カリフォルニア州環境経済財団の会議に出席してきたのですが、カリフォルニアが2045年までにカーボンニュートラルの目標をどうしたら達成できるかに焦点を当てていました。水素はこの道のりにおいて重要な役割を果たすでしょう」と、水素エネルギーの重要性を強調した。

 

Muratsuchi下院議員
「AB416: Sale of Shochu」についても触れ、「焼酎をSojuとして売らなければいけないというのは、テキーラをウイスキーとして売らなければいけないのと一緒だ、と説明した時に、同僚議員たちも理解してくれました。今回の法改正は、私がしてきた仕事の中でも最も大きなことの一つかもしれません」と話したMuratsuchi下院議員。

 

次にマイクを持ったのは、オレンジ郡監督委員会議長のDonald P. Wagnerさん。「オレンジ・カウンティーにはビジネスにおいて提供できるものが数多くあります。UC Irvineは水素技術を含む多くの分野で最先端の研究を行っていますし、Irvine Spectrum には多くのハイテク企業が集まっており、日本企業のオフィスもここに集中しています。私たちは南カリフォルニアにおける日本のビジネスやビジネスコミュニティーを強く支持します」と、オレンジ・カウンティーがいかに日本企業に対してオープンかを熱弁した。

Wagnerさん。
大谷翔平選手がオレンジ・カウンティーのエンジェルスからドジャースに移籍したことを残念がりながら、「僕はLAに長く暮らしていたから、実はドジャースファンなんだ。だからシーズンの開始が楽しみだよ!」とジョークを飛ばして会場を沸かせたWagnerさん。

 

最後に、米日カウンシル役員Tom Iinoさんが登壇し、「日本はアメリカにとって最も信頼できるアジアの同盟国であり、日米関係は今も昔も非常に重要です。かつて勢いのあった日本経済は一度バブルで崩壊しましたが、昨今、日本は国際的なリーダーとして、先進国として、復活してきています。今宵は皆でその復活を祝いましょう!乾杯!」と乾杯の音頭を取り、会はディナーおよび歓談の時間へと移った。

Iinoさん。
「日本とアメリカは経済的にも安全保障的にも互いを必要とする、家族のような関係」と話したIinoさん。

 

「日本水素フォーラム(JH2F)」参加企業の7社が、プレゼンテーションを敢行

ディナーが一段落すると、水素技術に関するプレゼンテーションの時間となり、モデレーターを務めた「日本水素フォーラム(JH2F)」の議長、横尾将士さんが登壇。日本もカリフォルニアも2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標としている旨、またその共通の目標の下、ここ数年、名古屋港や神戸港、横浜港などが立て続けにロサンゼルス港と覚書を締結し、港湾における持続可能性と環境問題への協力を正式に決定した旨、さらに日本政府とカリフォルニア州が2022年3月に気候変動対策の強化に関する協定を締結した旨などについて話した。

「我々日本企業が持つ水素技術で、カリフォルニアのゼロエミッションを後押ししたい」と熱く語った横尾さん。
「我々日本企業が持つ水素技術で、カリフォルニアのゼロエミッションを後押ししたい」と熱く語った横尾さん。

プレゼンテーションに聞き入る会場の参加者の皆さん。
プレゼンテーションに聞き入る会場の参加者の皆さん。

さらに横尾さんは、「私の任務は、皆さんに水素エネルギーについて印象付けることです。我々(JH2F)は水素ビジネスの経験が豊富で、アメリカにおける水素社会の発展の促進に意欲的な日本および日本関連の地元企業30社以上が参加しています。そしてその数は増え続けています。私たちは水素の生産から輸送、貯蔵、分配、電力の生成などに至るまで、全ての水素ビジネスの領域をカバーできるチームです。さまざまな市場の顧客のニーズに対して、適切な水素ソリューションを提供できます。今日は私たちのチームから、7つの企業を紹介したいと思います。どうぞ彼らを歓迎してください」と述べ、企業にバトンを渡した。以下は、プレゼンテーションを行った7企業およびその担当者、プレゼン内容の抜粋だ。

 

Toyota Tsusho America, Inc.
(Senior Manager, Corporate Strategy and Sustainable Business Development/Toru Sugiuraさん)

Toyota Tsusho America, Inc.
(Senior Manager, Corporate Strategy and Sustainable Business Development/Toru Sugiuraさん)

水素技術に関して積極的な研究・開発および投資を行っている総合商社、Toyota Tsusho America, Inc.。プレゼンテーションでは、2030年までに全てのコンテナ取り扱い機器をゼロエミッションに、2035年までに港湾内の短距離輸送トラックをゼロエミッションにするという積極的な環境目標を掲げるロサンゼルス港、ロングビーチ港に対し、多岐にわたる水素ソリューションを提供していく旨が話された。


PACECO CORP.(Director/Troy Collardさん)

PACECO CORP.
(Director/Troy Collardさん)

港湾用クレーンや物流システムの設計、製造、販売などを行うPACECO CORP.からは、同社が開発する世界初の水素RTG(港湾やコンテナターミナルで使用される移動式のクレーン)について紹介された。2024年2月に日本からロサンゼルス港の主要なコンテナターミナルの一つ、Yusen Terminals Inc.に届けられてからテストを行っており、近いうちに実際の現場での運用に移る見込みだとか。

Mitsui O.S.K Lines, Ltd.
(Senior Manager/Yuki Ebinaさん)

Mitsui O.S.K Lines, Ltd.
(Senior Manager/Yuki Ebinaさん)

大手海運会社のMitsui O.S.K Lines, Ltd.は、同社の脱炭素化に向けた取り組みである「Wind Hunter」プロジェクトを紹介した。これは燃料を補給せずに航海できる船の開発プロジェクトで、強風時には帆が風を受けて船を推進、その間に水中のタービンが回って発電し、水素を生産。水素はMCHと呼ばれる物質の形でタンクに貯蔵される。そして、風が弱い時にはその水素を使った燃料電池で発電、電動プロペラを回して船を推進させるというものだ。

Sumitomo Corporation Of Americas(Manager, Energy Seeding Department, Energy Group /Elizabeth Batista Moodyさん)

Sumitomo Corporation Of Americas
(Manager, Energy Seeding Department, Energy Group /Elizabeth Batista Moodyさん)

船舶燃料としてアンモニアを供給する事業「アンモニアバンカリング」についてアピールしたSumitomo Corporation Of Americas。国際海事機関(IMO)が、2030年までに温室効果ガス排出量を30%に、2050年までにゼロにするという積極的な脱炭素化目標を設定しており、それに対してアンモニアがスケーラブルかつ、燃焼時に二酸化炭素を一切排出しない燃料で、しかもエネルギー密度が高く長い船旅を十分サポートできる、とした。

Toyota Motor North America(General Manager, Fuel Cell Department/Justin Wardさん)

Toyota Motor North America
(General Manager, Fuel Cell Department/Justin Wardさん)

Toyota Motor North AmericaのWardさんは、水素燃料電池車(FCV)「Mirai」の普及について、いかに高収入のアーリーアダプターだけでなく一般層に浸透させることが重要かに触れ、試験的に55台の「Mirai」および3年分の水素をLA近郊の低所得者に寄付し、その実現可能性をテストした旨を話した。また、水素燃料電池車をさらに大きな貨物トラックや港湾内のヤードトラクターなどにスケールアップしてきた事例にも触れた。

Choshu Industry Corporation of America, Inc.(Director of Program Management/Pingchia Changさん)

Choshu Industry Corporation of America, Inc.
(Director of Program Management/Pingchia Changさん)

先進のエネルギー機器や有機ELデバイス製造装置などのメーカーで、水素エネルギー技術にも積極的に取り込む同社は、高圧水素を運搬、補填せずとも一つのパッケージで水素を生成し、燃料電池車に給油できる水素ステーション「SHiPS」を紹介した。また、省スペースで強いパワーを発揮する水素燃料電池発電機「MizTomo」のほか、水素ディスペンサー、高圧水素タンク、太陽光パネルなどについても触れた。

Mitsui & Co. (U.S.A.), Inc.
(LA General Manager, Regional Manager/Ryan Batesさん、Senior Analyst/Kosuke Makinoさん)

Mitsui & Co. (U.S.A.), Inc.
(LA General Manager, Regional Manager/Ryan Batesさん、Senior Analyst/Kosuke Makinoさん)

先に登場した他の大手総合商社と同様、クリーンエネルギー分野には非常に力を入れているMitsui & Co. (U.S.A.), Inc.。水素エネルギーに関しては、水素の生産から保管、輸送、販売、利用までを包括したサプライチェーンを作り出そうとしていると話し、その一例として、カリフォルニア州を中心に水素燃料供給インフラを展開するFirstElement Fuelに出資し、40の水素ステーションを運用しているケースなどを挙げた。

 

以上の内容で、水素技術に関するプレゼンテーションは終了。最後に海部さんが「今夜は水素についてたくさんのことを学べました。今後の当地における水素技術の普及には、日米の政府間、ビジネスにおけるコラボレーションが非常に重要だと感じました。今日の素晴らしいイベントを企画・運営したJBAの商工部会メンバーの皆さん、本当にありがとうございました」と話し、会を締めくくった。

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