2021/3/4
去る1月26日、デイビッド・オノさんを講師に迎え、ジャーナリストの視点から見た「2020年米国大統領選挙と今後の展望」ウェビナーを、海部優子ジャパン・ハウス・ロサンゼルス館長との対談形式で開催した。
[講 師] デイビッド・オノさん
『ABC7 Eyewitness News』および『KDOC-TV Eyewitness News』アンカー。ABC7には1996年に入局。ドキュメンタリー番組の製作に携わり、25回のエミー賞などを受賞。
最初に海部さんが「新型コロナウイルスのパンデミックは、オノさんのジャーナリストとしての仕事にどのように影響を与えましたか」と質問すると、オノさんは次のように答えた。「レポーターの安全を優先させるようになりました。マスク着用も必要ですし、さまざまなプロトコルを遵守しなければなりません。ニュース番組でも『Zoom』や『Skype』を駆使することになりました。番組制作に携わる私たちは、そのような新しい方法にすぐに適応しました。ただし、大統領選の取材は困難を極めました。バラク・オバマ氏やヒラリー・クリントン氏が出馬した際には、選挙戦の後ろで何が起こっていたかを取材することができました。しかし、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により現地での細かな取材が叶いませんでした」。大統領選の報道に関しては、オノさんは極力、ニュートラルな立場を維持するように努めたと強調した。「現在、アメリカ国民は分断されており、民主党のサポーターは共和党を激しく責め、共和党側は民主党側を責める姿勢で対立しています。そのような中にあって、私の使命は最善の声を届けることだと認識しています」。
続いて、「バイデン大統領はユニティー(協調)の重要性を謳っていますが、それは可能だと思いますか」との海部さんの質問には、「簡単には実現しないと思います。前述したように、今のアメリカは分断されています。例えば、右寄りの人たちは『Fox News』しか見ようとしません。自分の欲しい情報にしか触れようとしていないのです」と、現在アメリカが直面している深刻な分断を改めて強調した。
パンデミックの今後については、「バイデン政権ではパンデミックを上手に管理できると期待しています。多くの人々がワクチンを接種できるようになっており、100日間はマスク着用を義務付けるなど、トランプ政権とは真逆の対策が取られています。私もワクチンを接種して自由に旅行できるようになりたいです」と楽観的な見方を示した。
最後に日本企業にとっての懸念でもある税金問題に触れた。「税金はバイデン政権での大きな課題です。特にここカリフォルニア州では、大企業であっても高額な税金を支払うことが難しくなっており、日系を含む多くの企業がここを去ろうとしています」と、オノさんは新政権が何らかの解決策を提示することを期待すると述べ、セミナーを締めくくった。