2020/12/29
去る12月1日、LAPD副本部長を長年務めたテリー・ハラ氏を講師に迎えた「米国における安全・治安情勢ウェビナー」を、モデレーターの海部優子ジャパン・ハウス ロサンゼルス館長との対談形式で開催した。
[講 師] テリー・ハラさん
1980年にLAPD(ロサンゼルス市警)に入署。2008年、アジア系アメリカ人として初の、LAPD副本部長に就任。15年に引退後はコンサルティング会社を経営。旭日小綬章受勲。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、暴動や略奪がロサンゼルス地域でも発生し、治安の悪化が懸念された2020年。海部さんからの、現在のような不安定な状況における警察の取り組みについての質問にハラさんは、「社会が変化しています。警察はコミュニティーのニーズに対応していかなければなりません。警察はパブリックサーバント、つまり公僕。現在、新型コロナウイルスがロサンゼルスに大きな影響を与えており、発生した問題に警察は最善を尽くして当たっていかなければなりません。警察は皆さんが思っている以上に柔軟な姿勢で臨んでいます」と、警察がコミュニティーに仕える組織であると強調した。
次に海部さんが、「日本の警察は武道を教えることなどでコミュニティーの人々と交流していますが、アメリカの警察はどうですか?」と聞くと、ハラさんは「コミュニティーとの関係性は最優先事項の一つです。ロサンゼルス警察でも多様なユースプログラムを展開しています。例えばバスケットボール、空手、サッカー、柔道などで、地元の若者育成に積極的な警官がボランティアで指導しています。このことから分かるように、ほとんどの警官が善良な人々であることを知ってほしいです。ニュースを見ているだけだとそれが伝わりにくいようです」と、ジョージ・フロイド事件で警官のネガティブなイメージが拡散されたが、それはほんの一握りに過ぎないのだと話した。
続いて、全米で銃器の販売が伸びていることに海部さんが触れ、ハラさんにコメントを求めた。「実際に購入する場合は、取り扱い方法を習得してからにしてください。武器を使いこなすには何よりも訓練が重要です。さらに、環境も考慮すべきです。家の中にお子さんがいるなら置く場所にも注意が必要です」。
また、ホリデーシーズンを前に犯罪に巻き込まれないための対策については、「常に警戒心を途切らせないようにしてください。自動車は治安の良い地域、また人通りがあるエリアに停めるようにしてください。人の目が届く範囲内で行動してください。また、家を留守にする場合、ソーシャルメディアで自分が旅先にいると喧伝するのは止めること。旅先から戻ってから旅の思い出をシェアするようにしてください」とアドバイスした。さらに、個人情報を追跡されないように財布には常に最低限のものしか入れていないとのハラさん自身の心得も披露され、ウェビナーは終了した。