2020/11/5
去る9月28日、商工部会主催によるウェビナー、「コロナ禍でのLA経済状況ウェビナー マリア・セリナスLA地域商工会議所会頭を迎えて」を開催した。モデレーターはジャパンハウスのプレジデント、海部優子さんが務めた。
[講 師] マリア・セリナスさん
The President & CEO of the Los Angeles Area Chamber Of Commerce
2018年8月に、130年の歴史を持つLA地域商工会議所の会頭に就任。全ての人に平等なチャンスをもたらす経済の実現を目標に掲げ、会議所の活動に変革をもたらしている。
同ウェビナーではまず海部さんが、セリナス会頭率いるLA地域商工会議所について、「ロサンゼルス地域で活動を行う1400社の企業による団体です。その商工会議所の会頭として、初の女性、初のラテン系としてマリアさんが就任しました」と紹介した。
次にセリナス会頭は、同商工会議所の地域特性について、「当商工会議所は5つのカウンティーをカバーしていますが、これを仮に国と見立てた場合、その経済規模は他国と比較しても14番目の規模を誇ります。同地域で経済活動を展開する企業は、業種や背景などあらゆる面で多様性に富んでおり、まさに世界の縮図と言えます」と説明した。一方の問題点については「住居費の高騰、ホームレス人口の増加、公共交通機関が発展途上であることが課題であり、新型コロナウイルスの影響で状況が悪化しています」と懸念を示した。
ここで、海部さんがロサンゼルス地域のビジネス再開について質問した。会頭は「カリフォルニア州ではニューサム知事がタスクフォースのリーダーであり、彼が地域別、業種別で対策を練っています。メモリアルデーまでは再開に向けて順調に進んでいましたが、(人種差別に対する)抗議活動が起こりました。そこで一度後退したものの、ロサンゼルスは次の段階に進む準備が整っているようです。安全性を十分に考慮しながら、経済を前進させなければなりません」と答えた。さらに「新型コロナを乗り越えて今後、注目を浴びる産業はクリーンエネルギーです。カリフォルニア州において気候変動は重要な問題であると知事も市長も認識しており、環境面での持続性を促進する取り組みが加速していきます。知事の発表にもあったように、2035年にはガソリン燃料車の新規販売の停止が決まっており、自動車産業はその方向にシフトしていきます。充電ステーションの建設も急がれます。今後10年超でどう環境を変容させていくのかが重要課題です」と予測した。
海部さんの「我々日系企業は南カリフォルニアに多大な投資をしています。新型コロナウイルスが長引くことで、オペレーションにどう影響するか非常に心配していますが、どう思われますか」との質問には、「互いにコミュニケーションを取りながら、新しい経済がどこへ向かっているか、そのトレンドと機会を見逃さないようにしなくてはなりません。テレワークに関連したテクノロジー、クリーンエネルギーがキーワードです」とアドバイスし、JBAにエールを送った。