2020/8/7
去る7月10日、日米で弁護士としての実務経験がある正田弁護士を講師に迎え、コロナ禍で企業が直面している問題についてのウェビナーを開催した。
[講 師]
正田美和弁護士
Jenner & Block LLP日本プラクティス代表パートナー弁護士。カリフォルニア州、ニューヨーク州、日本の弁護士資格を有する。2008年から米国で訴訟、M&A、会社法を含む日本企業が直面する法律問題を取り扱う。
正田弁護士は「COVID-19によって契約上の義務を履行できなくなった場合、契約上の不可抗力(Force Majeure)条項が適用されて、義務を履行できなくても免責される可能性があります」と述べた。
その上で、どのような場合に不可抗力条項により免責されるかについて、判例上の具体例や傾向を示しながら説明した。「不可抗力条項では、その条項に書かれている具体的な契約文言によって射程範囲・内容・効果が決まってくるため、契約を作成する段階で、どのような不可抗力事象が発生した場合に自社が義務を履行できなくなるかをよく考えて、条項を作成しておくと良いです。また、契約の相手方に対する自社からの通知や連絡内容が、将来的に保険金を請求する場合の保険会社に対する自社の主張と矛盾することのないよう、気を付ける必要があります」。
また、在宅勤務に関連して、在宅勤務の中で営業秘密を保護することの重要性やその方法、従業員が業務内容に従った場所に所在しているかGPSでトラッキングできるかどうか、従業員の家族などに関する話や質問をしても良いのかなどについて、11月にカリフォルニア州で住民投票にかけられる法案(CPRA)の内容も踏まえながら、実務的な解説をした。
さらに、従業員がオフィスに出勤する際に感染の可能性を確認して良いか、感染者が出た場合に他の従業員に公表して良いか、従業員の労務コストを削減する際の注意点、furlough(無給休暇)を利用したり従業員をレイオフしたりする際の注意点などについて説明するとともに、COVID-19によるM&Aへの影響についても触れた。