JBA 南カリフォルニア日系企業協会 - Japan Business Association of Southern California

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JBAからのお知らせ

7/1(Sun) | 商工部会「FDI Report 2018」(海外直接投資報告書)発表

去る5月24日に開催された、「Select LA International Investment Summit 2018」において、南カリフォルニアにおける海外直接投資報告書の2018年度版が発表された。JBAはこのレポート作成にあたり、前年に引き続き今年度もスポンサーとして協賛した。日本は、前年に続き雇用者数、企業数、総賃金いずれも1位となった。

2018年度Select LAサミット開催
JBAは今年度も協賛

JBAの協力団体の一つである、LAEDC(Los Angeles County Economic Development Corporation、ロサンゼルス郡経済開発公社)の傘下機構、WTCLA(The World Trade Center Los Angeles)は、5月23日・24日の2日間にわたって、ダウンタウンLAで「The 2018 Select LA Investment Summit」を開催した。この催しは、南カリフォルニアにおける貿易の動向、ロサンゼルス郡での直接投資の機会やマーケットトレンド等について紹介するもので、国内外から多数のビジネスリーダーが参加。JBAからも大川智会長をはじめ、商工部会員が出席した。

そしてSelect LA 2日目、5月24日には、南カリフォルニアにおける海外直接投資報告書の2018年度版「Foreign Direct Investment in Southern California, 2018」(以下FDI Report)が発表された。これは2017年度の南カリフォルニアに対する諸外国からの投資や貿易等の対外活動に関わるデータをまとめたもの。JBAは日系企業の南カリフォルニア地域への貢献度を示すための客観的かつ公式なデータの重要性を認識し、2016年度から引き続き同レポート作成にスポンサーとして協賛した。

FDI
ファシリテーターのJohanna Maska氏(右)とロサンゼルス郡5市の担当者によるパネルディスカッション。
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Select LA 2018に出席した大川会長(右から3人目)、チャン氏(中央)と商工部会員、その他関係者ら。

 

世界3位の経済規模を持つ国際都市ロサンゼルス

エリック・ガルセッティ氏

ロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティ氏。海外企業との協力の重要性を強調した。


はじめに、ロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティ氏が登壇しスピーチを行った。「ロサンゼルスは、東京、ニューヨークに次ぐ世界で3番目の経済規模を持つ都市です。過去15年間、世界で最も高い一人あたりGDP成長率を誇ってきました」と述べ、ロサンゼルスの経済規模と経済成長に胸を張った。2028年に開催予定のオリンピックにも触れ「我々は3回目のオリンピックを勝ち取りました。同都市での3回開催は、ロンドン、そしてロサンゼルスの直前に3回目を開催するパリに続いて3都市目の快挙です」と話した。

次にビジネスの側面について、「この街のビジネスの61%は、移民の人々によって開かれたものです。ワシントンでは現在、貿易における『障壁』について話し合われていますが、これは貿易戦争を招き、孤立を生み出すものです。我々は扉を開き、成長と繁栄、そして何より友情を大切にしていきます」と述べ、海外企業のこれまでの貢献と、貿易による経済活性化の重要性を強調した。「現在、ダウンタウンLAではいくつかの大きなプロジェクトが動いていますが、これらには多くの諸外国からの投資が入っている。これは恐れることではなくむしろ楽しみなことです。日本をはじめとする諸外国が仕事を作り出すことは、ロサンゼルスの未来を作り出すことなのです。我々は、いいアイデアがあればここで試してほしいと思っています。共に成功と失敗を重ね、手を取り合い、歩んでいきましょう」と、海外取引や貿易を歓迎する考えを示した。

 

南カリフォルニアでの海外直接投資
日本は3年連続で全部門1位

マイケル・シャイヤーズ教授

FDIレポートについて解説した、Pepperdine University
のマイケル・シャイヤーズ教授。

次に、Pepperdine Universityのマイケル・シャイアーズ教授が、この度のFDI Reportで公表された、2017年度の直接投資の詳細について説明した。本レポートでは、南カリフォルニアの6郡(ロサンゼルス、オレンジ、リバーサイド、サンバナディーノ、サンディエゴ、ベンチュラ)における海外企業の活動について、雇用者数、企業数、賃金の観点から集計。国別および産業別のデータ、経年比較も紹介された。

南カリフォルニア全体で見ると、海外の企業数は前年から約4%増の10,378企業、雇用数は約3%減の427,954人。国別のデータを見ると、日本は2,541企業、85,874人で、3年連続で企業数、雇用数、賃金総額とも1位だった。企業数は前年から約3%の増加、一方で雇用数は約2%の減少となったが、依然、雇用数は南カリフォルニアにおける海外資本企業が生み出す雇用全体の20.1%を占めた。シャイヤーズ氏は「既に最大のシェアを持つ日本もポジティブな成長を見せています」と評価した。

日本以外の国を見ると、雇用数2位は昨年と同様イギリス、3位カナダ、4位フランスと続く。同じアジアでは、中国は昨年から1つ順位を上げ8位、韓国も2つ上げ11位となった。各国を取り巻く状況や特筆すべき点として、(1) イギリスのBrexitによる海外移転、(2) トランプ大統領の政策によるメキシコとの関係、(3) 2年間で2.5倍(雇用数)に増加した中国の成長を挙げた。

次に産業別で見ると、Manufacturingが147,830人と、全体の雇用者数の約35%を占めた。一方、企業数で見ると、Retail TradeとWholesale Tradeが1位・2位を占め、両者で約4割に達する。日本企業を見ると、Manufacturingが雇用者数約24,000人で最多。アメリカを代表する工業都市ロサンゼルスをリードしていることが分かる。これに約19,000人のWholesale Tradeと、約12,000人のRetail Tradeが続き、全体の傾向とほぼ同様の結果となった。

 

「日本企業との協力強める」
トーランス市担当者

FDI Report発表の後には、ロサンゼルス郡の5つの市(エルセグンド、グレンデール、ロングビーチ、サンタクラリタ、トーランス)の担当者によるパネルディスカッションが行われ、各市の強みや特徴の紹介と質疑応答が行われた。その中で、特に日本企業が集中するトーランス市のEconomic Development Manager、フラン・フルトン氏は日本企業について以下のように言及した。「トーランスは、日本企業が最も集中しているエリアだということをご存知の方も多いでしょう」。さらに、近年までトーランスに北米本社を置いていたトヨタ自動車がテキサス州に移転したことにも触れながら、「トヨタが移転したとはいえ、トーランスにはホンダという大手自動車企業があります。我々は同社と協力して地域輸送システムの開発を行っており、車から公共交通機関へのシフトを進め、渋滞解消につなげたい」と、日本企業との結び付きを強調した。

 

「我々に頼ってきてほしい」
WTCLAスティーブン・チャン氏

スティーブン・チャン氏

サミットの司会・進行を務めた、WTCLAのPresident、スティーブン・チャン氏。

WTCLAのPresident、スティーブン・チャン氏は日本からの投資について、「南カリフォルニアにとって、日本からの直接投資は非常に重要です。過去3年間の調査で常にトップの貿易相手であり、我々WTCLAだけでなく、ロサンゼルスや世界の多くの人が日本との関係性の重要さに注目していると思います」と述べた。今後注目すべき産業としては、バイオサイエンスやハイテク産業を挙げた。「ロサンゼルスは非常に大きな日本人や日系人のコミュニティーを持っており、日本人にとって非常にアクセスしやすい環境にあると感じています。ロサンゼルス地域には1,870万人、南カリフォルニアには2,200万人の消費者がおり、非常に多くの消費者に商品やサービスを提供することができます」と、投資先としての南カリフォルニアの魅力を語った。

次に、FDI Reportの結果については、「日本企業が85,000人以上の雇用と、年間50億ドル以上の賃金をもたらしていることのインパクトは非常に大きい。今回の結果が掲載された『Los Angeles Business Journal』は、地域の80,000社以上の企業に届けられます。ロサンゼルスの多くの企業や人が、日本からの投資の重要性について即時に知ることになるでしょう」と、日本企業の影響力を評価した。

最後に、「日本企業には、ぜひ我々に助けを求めてほしい。我々WTCLAを含む多くの政府機関、非営利組織は、日本企業が成功するために、手を差し伸べたいと思っています」とメッセージを送った。

 

「より一層の環境整備に努めたい」
JBA大川智会長

大川会長は、ロサンゼルスの経済活動について、「ロサンゼルスは日本にとって、1880年代にアメリカへの移住が始まった際の玄関となった都市。また現在では海運の拠点となるロサンゼルス港とロングビーチ港、さらに年間8,000万人以上が利用するロサンゼルス国際空港があり、まさに物流・人流のゲートウェイです。さらにシリコンビーチに代表されるIoT、AIによってもたらされる第4次産業革命の中心地でもあります。新しいビジネスモデルの生まれる場所であり、今後も日本企業にとって重要な地域であり続けると感じています」。

FDI Reportで明らかになった日本企業の経済的貢献の発信と、今後の貢献については「FDI Reportのように、具体的かつ客観的な形で伝えることが大切だと考えています。今後は日米の次世代を担う若者に対する教育活動への支援や、地域社会の一員として事業還元活動を行うといったことが、経済的繁栄の継続のためにも重要となってくると確信しています」と話した。

最後にJBAが今後果たしていく役割について、「WTCLAやLAEDCをはじめ、現地の政治、経済、文化教育団体といったパートナーとの交流を深め、日本企業がこの地の一員として有益な経済活動が可能となるような信頼関係を築けるよう、環境整備と改善に一層努めていきたい」と語った。

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