世界の人々の安全を守る より良い製品＆サービスを

守りの経験を経て攻めの経営へ

入社当初、営業職を志望していたので、経理部配属の辞令は予想外でした。しかし、分からないことばかり、言い換えれば新しいことばかりでしたので、すごく楽しかったです。それに後から気付きましたが、経理は数字から会社の仕組みを見ることができる、経営に非常に重要な部門なんですよね。

実は入社当初に「これからは攻めの管理だ」と言われたのです。経理の現場では基本は守りの仕事が多く、さらに管理の仕事に特化していくとリスクを排除して会社を守る方向で判断をしがちになります。ところが、経営側となると時にはリスクを取ってでも会社として伸びていこうという攻めの判断をすべき時があります。今、そういう時に攻めの判断ができるのは、守りの仕事の経験があったうえで、攻めの重要性が理解できたからかもしれませんね。

実際に仕事の上で経営側から考えるようになったのは、2005年のHochiki Europe (UK) Ltd.赴任後のこと。経理に加えて経営側から会社としての方針を判断する立場になったのです。部下を持ったのもその時が初めてでした。英語がさっぱりできなかったので、初めての部下は言葉が通じない相手。私も驚きましたが、部下の方が困ったでしょうね（笑）。

このイギリス駐在ではホーチキという会社を初めて外から見ることになりました。日本ではどこに行っても当たり前のように当社製品を見ていたので、ありがたみを本当には分かっていなかったのです。イギリスでは、例えば大陸につながるユーロスターが停まる国際駅やロンドン地下鉄などにも導入していただいているのですが、海外でも当社製品の信頼性を認めてもらい、これを使って商売をしている人がいて、そして当社の製品で守られている人がいる…そう改めて実感しました。両親をイギリスに呼んだこともあるのですが、その時のたまたま泊まったホテルに当社製品がついていて、うれしかったですね。

イギリス赴任
そして米国赴任から学んだこと

13年にアメリカに異動。 Hochiki America Corp.は、メキシコに子会社を持っているのですが、メキシコをはじめとする大半の新興国では独自の規格がなく、ここで製造しているアメリカの規格もしくはヨーロッパの規格が採用されることが増えています。つまり東南アジアや中東なども含め、世界中で売られる製品をアメリカで製造しているのです。また当社は創業以来長く、OEMという形をとってお客様のブランドで製品を供給してきたのですが、このOEMと並行して、現在、自社ブランドでのシステム販売も伸ばしているところです。

私の赴任当時は、そうした変化に対する準備がまだ整っておらず、無駄があったり力を入れる場所が違ったりと、社員の頑張りが実績にきちんと反映されていない事態も起きていました。そうした問題を会社全体で一つ一つ直していって、今は働いた分が会社の業績に反映する好循環に。もともと皆が一所懸命やってくれたものが結果につながるようになっただけなのですが、だからこそ、頑張り続けてくれている社員の皆さんに感謝しています。

ホーチキの理念は、「人々に安全を　社会に価値を　企業をとりまく人々に幸福を」です。ヨーロッパに行き、アメリカに来てみて、その「人々」は、世界の人々なんだと強く感じるようになりました。これからもホーチキが世界の人々の安全を守る役割を果たせるよう、どんどん良い製品とサービスを提供していきたいと考えています。

イギリス時代、子どもの歌を歌ううちに楽しさを再発見したギター。最近では、子どもと一緒に弾き語りをすることも。

=Company Info=

Hochiki America Corporation◎1918年に設立された日本最初の火災報知機メーカー、ホーチキ株式会社の100％子会社として、1972年にロサンゼルスに誕生。火災報知設備の製造および販売を手掛けている。

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