1958年東京都生まれ。慶應義塾大学工学部卒業後、石川島播磨工業株式会社(現・株式会社IHI)入社。以後、主に日本国内の電力会社向け事業用ボイラの制御システム開発、設計に従事。うち4年間は日本Bailey(現ABB Bailey Japan)出向。2013年より現職。
海外出張の経験はありましたが、海外生活はこの駐在が初めてです。また仕事の面でも初めての経験の連続です。入社以来、火力発電所のボイラ制御設計・開発に関する仕事を長くしていました。日本ではボイラを製作し据え付け、お客様に使っていただく仕事でしたが、こちらではボイラおよびその他の設備をうまく運転、維持し、安定した電力を供給していくことが仕事です。初めての仕事かつ慣れない英語で、わからないことは多く勉強しなければダメダメと思っているのですが、実態は自分ができるところからやるしかないね! になってます。
当社は2012年に当時のIHI経営方針で示された3つのパラダイム転換にある2つ:ライフサイクル重視のビジネスモデルとグローバルな事業運営、これらを柱に低炭素社会の実現を目指す事業の一つとして、IHIがConstellation Energyという会社のバイオマス等の火力発電所のオペレーション & メンテナンス(O & M)部門を買収し、IHI Power Services Corp.になりました。所有している木質燃料を燃焼し発電するバイオマス火力発電所は出力19 〜24MWです。カリフォルニアにはバイオマス火力発電所が現在約30あり、その設備容量の合計は約640MW、1日の最大出力約300MWで全発電の1%以下です。アメリカでは広大な土地を利用して多くの電力を供給する風力発電や太陽光発電などを再生可能エネルギーとしてよく目にしますが、バイオマス火力発電もCO2対策となる再生可能エネルギーの一つです。使用する木質燃料は建築廃材や農地・林地の木質残材を裁断したもので、これを大型トレーラーで運びます。気体や液体・粒状の固形燃料と異なり形状が不揃いで流動しにくいこのバイオマス燃料を、トレーラーをまるでロケットを発射するかのように立て(写真下)、速やかに払い出しています。
ここはいつも天気が良くて、オフィスは一人ひとりがコンパートメントになっていて快適です。でも言葉も文化も違えば仕事の仕方も違います。なので、見かけも考えもちょっと違う社内唯一の日本男児をよく知ってもらうために、公私ともに多くの人と会うように努めています。
私の役割は、当社の発電事業、O & M事業が発展していくよう努めるのは当然ですが、製造業のIHI Groupに事業者が求める機能、品質、安全性、扱いやすさ等の使用者側の情報を提供しIHI Group製品の改善に貢献すること、所有する発電所を活用してIHI Groupの研究開発や既存製品の改善につながる実機検証をすること等だと思ってます。IHIが発電所を所有し発電事業をすることの意義を示していくことが私の大きな使命ですね。
仕事を離れると、会社の行き帰り、車の運転が毎日の楽しみです。景色も道も良くて気持ちがいい上、購入したFIAT 500 ABARTHのマニュアル運転が簡単ではなく、いつも同じタイミングで操作できないので、うまく操作できると、とてもうれしく楽しいです。一人旅の観光が嫌いな単身赴任者なので、今のところ車での遠出は最北サクラメントの発電所への出張か、家族が遊びに来たときくらい。でもいつかラスベガスへは行ってみたいと思っています。仕事も遊びもまずはできるところからですね(笑)。
=Company Info=
IHI Power Services Corp.◎カリフォルニアにバイオマス発電所をはじめ5つの火力発電所を所有。電力を供給すると共に、発電所の運転と設備の維持(O & M)も実施。自社所有の発電所以外でもO & Mを行っている。