去る5月16日、ホリデーイン・トーランスで第118回ビジネスセミナーを開催した。ここ10年でイン
ターネット人口は爆発的に増え、2005年には10億人突破。各企業ともウェブサイトを充実させ、少し
でも多くの顧客を取り込もうと必死だ。そこで今回は、Logial eXtensionS, Inc.のPresident & CEOであ
る木村拓也さんが、「結果を出すためのオンラインマーケティング」を伝授してくれた。

「結果が見えないからと言って、すぐに止めてしまうのは良くありません」と語る木村さん
インターネットが爆発的に広が
って10 年以上が経ちますが、産業
史から見れば、またまだ若いビジ
ネスです。そもそも昔はウェブサ
イトの数が少なかったため、ちょ
っと珍しいことをすれば目立つこ
とができました。しかし、今では
世界中に80 億のウェブサイトが存
在し、その中で注目を得るという
ことは至難の業。情報として価値
のあるウェブサイトだけが生き残
れるというわけです。
また、グーグルの検索エンジン
のロジックが主流になるまでは、
「META タグ」という技術を使
って検索エンジンの上位に表示
させ、簡単にウェブサイトへのア
クセス数を稼ぐことができました
が、今ではそのような簡単な方法
はありません。他社を出し抜く特
効薬がないというわけです。です
から、今後のオンラインマーケテ
ィングに関しては、きちんとした
施策の基に対策を練る必要があり
ます。
ネットのユーザー数やインター
ネットの普及率などを見ますと、
ネットユーザーと現実に生きる人
の数は、どんどん近付いていま
す。初期のインターネットユーザ
ーは、どちらかと言うとオタク的
な人間が多かったのですが、今で
は現実の人々の数に均衡していま
す。ですからウェブは、マーケテ
ィングの観点からも確実に成熟し
つつあるメディアなのです。
しかし、現実は集客数や売り上
げが伸びないといったことをよく
耳にします。私の経験からですが、
企業には「ウェブ」という特別な
響きだけで、「若い人間に任せて
おけば良い」という発想があり、
会社全体のマーケティングから切
り離して考える傾向があるようで
す。これが原因で、ネット上での
営業に結果が見えてこないのでは
ないかと思います。
営業プロセスには、以下の4つ
のステップがあります。まず初め
に、自社の商品やサービスに興味
を示す人を集める「集客」。2番目
に、それらの人たちの中から具体
的に話ができる対象を絞り込む「見
込み客の確保」。3番目は実際の受
注活動である「クロージング」で、
最後に「アフターフォロー」とな
ります。一般的な営業プロセスで
は、この4つのファクターを分離
し、運営することが最も効率的な
のですが、現実はこれらのプロセ
スのいくつか、あるいは全部を1
人でしてしまう会社が多いのも事
実です。
さて、このプロセスをウェブで
のマーケティングに応用してみま
すと、最初の「集客」部分が「イ
ンターネットでの露出」になりま
す。次にネットユーザーに入力フ
ォームを記入させたりすること
で、見込み客の情報を得ることが
「見込み客の確保」にあたり、「ク
ロージング」は最終的な購買、そ
の後の新製品情報やメールマガジ
ンの配布およびトラブル対応など
が「アフターフォロー」にあたり
ます。これらのうち最初の2ステ
ップを「集客レイヤー」、後半の2
ステップを「受注レイヤー」と呼
びます。ウェブサイトの効果が上
がらないのは、サイトの存在がタ
ーゲットに認知されていないとい
う「集客レイヤー」の問題と、「サ
イトへの訪問価値がない」「完成度
が低い」など、サイト自体の価値
が低いという「受注レイヤー」で
の問題が原因となります。
サイトの告知活動を見てみまし
ょう。現実の書店を例に挙げると、
本を売る側(販売側)は、新刊の
宣伝をしたり、店頭にポスターを
貼るなどして情報を「Push」する
存在となります。しかし、インタ
ーネット上では、本を求めるユー
ザーが情報を「Pull」する存在とな
ります。ここで目的意識を持って
商品を探す(情報をPull する)ユ
ーザーに対し、企業がどうアピー
ルするかが問われるのです。その
ため、他サイトにリンクを張った
り、SEO 対策を行うことで競合他
社製品よりも上位に表示されるよ
うにするなどの対策が必要です。
さて、告知活動を拡大するには、
ユーザーがサイトを見つけてくれ
るのを待っていてはいけません。
ターゲットユーザーが多く集まる
場所に積極的に導線を仕掛け、中
長期的なプロモーションを展開す
ることで、品質とサービスに対す
る大衆の安心感を高め、潜在的ユ
ーザーの購買意欲を高めることが
必要です。具体的には、自社サイ
トや関連企業からのリンクだけで
なく、無関係の企業や同種類の商
品を扱う企業のサイトに紹介コラ
ムやバナーを掲載し、自社サイト
への導線を引くのです。そして、
効果が見られないからといって1
回の告知で止めるのではなく、プ
ロモーションを継続的かつ多発的
に行うことでユーザーに信頼感を
与え、商品のブランド価値を高め
るのです。
実際に手に取って見られるツー
ルを活用して、サイトのプロモー
ションを行うことも重要です。パ
ンフレット、チラシ、DM などの
媒体から、テレビやラジオ、新聞
などの既存メディアを利用し、ウ
ェブ情報を告知するのです。そう
することで、ユーザーの目に留ま
る機会は当然増えていきます。
例えばテレビでは、限られた時
間内で魅力のすべてを伝えること
は困難です。雑誌では、限られた
スペースで細かいスペックを紹介
するのは限界があり、また、情報
が更新できないなどの不具合もあ
ります。そのため今では、必要最
低限の情報だけを発信し、「詳しく
はウェブサイトへ」というパター
ンが流行となっています。ウェブ
サイトだと、時間制限はなく、ユ
ーザーは見たい時にいつでも見る
ことができます。また、情報の即
更新が可能で、常に最新の情報を
発信することができます。さらに
空間的制限もないため、マニア好
みの詳細な情報もほぼ無制限に掲
載が可能となります。ですから、
ウェブとほかのメディアを切り離
して考えるのではなく、互いを連
動させて上手にウェブに人を集め
る方法を考えなければいけませ
ん。
オンラインマーケティングは特
別なものではなく、普通のマーケ
ティングの上に成り立つものです
が、ネットユーザーを対象とする
ため、これまでとは少し違った視
点を持つことも必要です。
ネットユーザーの行動様式は、
@製品やサービスに「Attention(注
目)」する、A「Interest(関心)」
を持つ、Bその情報をさらに詳し
く「Search(検索)」する、C最終
的な「Action(行動)」=購買行動
に移る、D商品や購入元企業への
満足感などを他者と「Share( 共
有)」する、E顧客となったユーザ
ーが、別の顧客に「Recommend(推
薦)」する、というのが一連の流れ
です。
特にDに関しては、ネット以前
では自分の知り合いの範囲内に口
コミなどで情報提供していました
が、現在ではブログやソーシャル・
ネットワーク・サービス(SNS)
などを通じて、広範囲に情報発信
します。また、Eの顧客ユーザー
と協力体制を確立することで、よ
り多くのユーザーに推薦してもら
える可能性は高くなり、最終的に
は企業のブランディングやコーポ
レート・アイデンティティーの構
築にもつながっていきます。
今お話したように、ブログや
SNS を中心としたCGM(Consumer
Generated Media)を介し、「Share」
から「Recommend」への過程は急
速に進展します。CGM の影響力
はどんどん大きくなっており、商
品力や企業イメージをも左右しま
す。しかし、CGM に対して情報の
コントロールはできません。では
どうすればいいのか。消費者で作
るブログなどでは、10 人の書き込
み者がいれば、必ず1人がオピニ
オンリーダーとなっています。そ
ういうインフルエンサー(中心人
物)と信頼関係を築いておくこと
が重要なのです。そうすれば彼ら
は良い情報を発信してくれます。
もう1つ、企業側からも正確な
情報をタイムリーに発信すること
が必要です。例えば、車がリコー
ルになる噂が出た場合、企業とし
てはリコールにはならない根拠の
情報を発信しつつも、万が一そう
なった場合の対応や取り組みをき
ちんと情報提供するのです。そう
することで、悪い噂の拡散は防げ
ます。情報をコントロールしよう
とすると、ネットユーザーの心は
離れていきます。ですから、信頼
できる企業の情報を、担当者自ら
の声として発信し続けることがキ
ーとなっていくのです。
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