2016/6/22
JBAは北加日本商工会議所(JCCNC)と共同で、毎年州都サクラメントを訪問しており、今年も6月22日、23日両日に訪問を実施した。同訪問は州政府や関係団体との関係維持・強化を図る目的で20数年来毎年継続して実施しており、今年は、JBA会員企業向けに実施したアンケートを基に、自動運転や環境規制、インフラ整備等に対する州政府の取り組み、労働コストの上昇といったビジネス上の諸課題を事前に整理して臨んだ。訪問前に議論すべき課題を州政府に送ることで適切な担当者が対応にあたるよう取り図られ、州政府の見解を正確に確認することができた。また、昨年に続いての議会訪問やレセプションの開催等を通じて、州に対する日系企業の貢献度を引き続き強くアピールした。
〈今回の訪問日程〉
■6月22日(水)
・カリフォルニア陸運局(DMV)との会談
・カリフォルニア商工会議所との昼食懇談会
・カリフォルニア州地震対策委員会との会談
・カリフォルニア州政府幹部・上院・下院議員とのレセプション
■6月23日(木)
・カリフォルニア州上院議会にて紹介を受ける
・カリフォルニア州経済促進知事室(Go-Biz)並びに同環境保護局との会談
「Go-Biz(Governor’s Office of Business and Economics Development、経済促進知事室)」はカリフォルニア州の経済促進と雇用創出のための州知事特命機関であり、今年の会談では、カリフォルニア州環境保護局も同席し、JBAの会員企業向けアンケートを基に事前送付したトピックスへの州政府の見解を確認した(詳細は下記を参照のこと)。先方からは、日本企業のカリフォルニア州経済・雇用への貢献を高く評価すると共に、労働規制や州政府による許認可事項、新規雇用に伴うCalifornia Competes Tax Credit(税控除プログラム)について、質問や相談があれば無料でのアドバイス提供や説明会の開催を行うので、遠慮なく呼びかけてほしいとのコメントがあった。
■ 最低賃金の上昇等の労働コストの上昇について
カリフォルニア州は労働者がケガや病気等にあっても不公正な取り扱いとならないような制度設計を目指している。また、労働者へのベネフィット向上は消費者の購買力向上につながり経済へも好影響だと考えている。
■ 無料相談窓口
労働法制は他州に比べて厳しい面があるが、州で40人以上の弁護士を抱え無料相談が可能である。州の許認可事項(ライセンス)に対するアドバイスも無料で行っているので積極的に活用してほしい。
各種のカリフォルニア州ライセンスについても、無料相談を行っている。さまざまな事業にどのようなライセンスが必要か、その取得方法についてもアドバイスを行っているのでこちらも積極的に活用して欲しい。
■ California Competes Tax Credit(税控除プログラム)
税控除プログラムは、投資金額や雇用者数等の条件があるが、新規事業だけではなく既存事業の拡張でも適用が可能。個別要望があればワークショップの開催も可能なので、ぜひ積極的にコンタクトしてほしい。
■ 交通渋滞や交通インフラ整備への対応
交通インフラは、経済活動の競争力を支える重要なインフラであり、連邦や企業との連携を通じた整備が重要との認識。具体的には、今後、カルトレインの整備拡張やフェリーの活用、フレズノで建設が進んでいる高速鉄道が走行予定のバーバンク、アナハイムへの投資等を検討。
■ ZEV規制といった厳しい環境基準への対応
カリフォルニア州の環境基準は、環境を保護する目的だけではなく、より厳しい基準を設定することで、製造業の技術をリードしていく狙いもある。このため、民間企業との対話と協力を強化していく。例えば、Zero Emission Vehicle(ZEV)プログラムについては、水素ステーションの設置、水素燃料電池自動車へのリベート、優先レーンの設置拡充等により自動車メーカーと協働していく。
ジーン・シオモト長官を含むDMV幹部との会談では、先方より、当面のDMVの新しい施策として、日本語を含む10の外国語での交通法規ルールブック集を近日中にDMVオフィスに配布すること、来年春には英語とスペイン語だけではなく日本語を含む多くの言語でタッチパネル方式でのテストが可能となること、今年7月より新規の免許取得に際して、カリフォルニアに居住していることを証明する2つの書類の提示が必要となることの説明があった。また、JBA会員企業の間でも関心の高い自動運転車への対応としては、州政府や自動車メーカと協働してガイドラインの作成作業中であり、今年夏頃をめどに草案を公表したい、とのコメントがあった。
6月23日(木)、JBA、JCCNCは、開催中のカリフォルニア州上院議会を訪問した。議会においては、昨年に続いて、Hanna-Beth Jackson上院議員とMark Leno上院議員から、参加メンバー全員の名前と所属を含め、議員に対して紹介されるという栄誉を受けた。紹介時には、日本はカリフォルニア州に対する最大の投資国であり、日本企業が州内で大きな雇用を創出していることへの感謝と共に、そうした関係を今後も一層強化していきたいとのメッセージが届けられた。
その他、昨年に続いてカリフォルニア州地震対策委員会と面談し、今年日本で発生した熊本地震への対応についての紹介と、カリフォルニア州としての地震対策について意見交換を行った。また、カリフォルニア商工会議所幹部とは昼食懇談会を実施し、カリフォルニア経済・産業動向について活発な意見交換を実施した。今回のサクラメント訪問の成果も踏まえ、JBA会員企業がさらに有意義な情報収集やメリットを享受できるよう、引き続き取り組んでいく。
なお、カリフォルニア州ライセンスや税控除プログラム等に関して、州政府に対して照会したい等の希望があれば、州政府担当者の紹介が可能である。そうした点も含め、上記のさらなる詳細についてはJBA事務局高橋専務理事経由で、商工部会に問い合わせてほしい。